お精霊迎えと七夕祭

8月にはいり猛暑が続いておりますが、いかがおすごしでしょうか。
京都も「お精霊(おしょらい)迎え」が始まりますと、今年もお盆の時期だと実感しますね。

六道珍皇寺の六道まいりは有名ですが、西陣の地にある「千本ゑんま堂 引接寺(いんじょうじ)」でもお精霊迎えが行われています。
こちらでは、地蔵供養池に、水塔婆を流す水回向(えこう)を行い、お精霊さんをお迎えします。
境内には、朝から迎え鐘の音が響き、お参りの方々が次々に来られていました。


本堂にお参り。
正面で睨んでおられる閻魔様はいつ来ても畏敬の存在です。



こちらは地蔵菩薩、小野篁卿が祀られ、盆供えがされています。

さつまいも、人参、みかん、ささげ豆、ほおずき……
ささげ豆がいろいろな結びようでアクセントに。一皿一皿がアートのように面白いです。そして美しい (^-^) !

地蔵池では、心をこめて水を掛け、塔婆を流されています。


千本ゑんま堂は、千本通りにあり、かつて京の葬送の地のひとつであった蓮台野(れんだいの)の入口にあたるといわれます。近くには大報恩寺(千本釈迦堂)や石像寺(しゃくぞうじ / 釘抜地蔵)もあり、千本は地域の人々の信仰篤い地でもあります。

さて夕刻、やはりこの西陣の氏神様である今宮神社の織姫社の七夕祭が催行されました。

織姫社の七夕祭は、500年以上もの歴史をもつ西陣織を育んできた西陣の業祖神である織姫大神(おりひめのおおかみ)に感謝を捧げる祭。
織姫の神と、人々がひとつになって西陣をつくり上げてきたことを象徴する祭として、神人ともに直会い、感謝を奉り、互いに喜びを分かち心を重ねてゆく願いがこめられているとのこと。

サヌカイトの不思議な調べが流れるなか、神事は厳かに執り行われ、境内全体が暮れてゆく宵に包まれます。いつのまにか星空になっていました。
神と仏がともに人々に寄り添っておられると感じるとき。こうした夏の一日なのかもしれません。


 

 

 

祇園祭 山伏山 復元水引あざやかに

ことしも祇園祭の巡行はありませんが、山鉾建てをされたところ、懸想品を見学できる会所もあり、昨年よりはいくぶん祭り気分を味わえますね。


山伏山(室町通蛸薬師下ル)では、山建ては見送られましたが、6年がかりで進めてこられた水引(懸装品)4枚の復元新調が今年で完成され、あざやかな色彩の水引が飾られていました。

水引「養蚕機織図」綴錦(つづれにしき)
下が従来の水引、上に新調の水引を掛け、図柄を対比して見られます。

中央くらいの図柄をクローズアップしますと、

桑の葉を摘みとって蚕に与えるところが描かれています。
そして蚕を育て、取れた繭から糸を繰って絹糸にし、機を織り、織物ができるまでが描かれます。

機織りの場面。復元前後を見比べてみると、


およそ200年前の水引だそうで、どのような色だったのかを再現できる現代の技術にも驚きますね。
工程が物語のように描かれ、まるで絵巻を見ているよう。間近で見ると、織りこまれた糸も緻密で見事です。
最後は、皇帝に織りあがった絹織物を献上する場面が描かれます。


刺繍も素晴らしいです。

こちらは、
前水引「桐竹霊獣図刺繍」
桐竹唐草の地に麒麟と青龍が精緻に刺繍されています。

保存会の方にお話を伺いましたら、綴織(つづれおり)は一日数センチしか織れない手間のかかる作業だそうで、技術をもっておられる方も少なく、念願の新調を喜ばれる熱い思いが伝わってきました。来年はこのあざやかな水引を掛けて巡行されるそうです。
お披露目は1年延びましたが、ぜひとも来年のお楽しみに!
ではではまた。


         (函谷鉾 四条烏丸西入で)