さまざまの紅葉

好天がつづきますが、朝夕は冷え込み、いよいよ秋も深まってきました。
皆さまはどんな紅葉をごらんになりましたでしょうか。
ことしは良い時期に出かけられず、名残の紅葉狩りとなってしまいましたが、八瀬の瑠璃光院(るりこういん)を見学しました。


すこし寒くても空気が澄んで心地よい風が渡ります。

高野川を挟んで、叡山電鉄「八瀬比叡山口」駅の対岸に、数寄屋造りの建物と庭園で知られる「瑠璃光院」があります。

 

玄関を入ると、三条実美命名の茶室「喜鶴亭」の扁額。
こちらの瑠璃光院、現在は浄土真宗の寺院ですが、以前は京都電燈(京福電気鉄道の前身)の経営する料理旅館「喜鶴亭」として知られていました。



盛りを過ぎたとはいえ、書院二階からはさまざまに色づいた紅葉が見られます。
数十種のもみじが植えられているそうです。
ここは以前、堤先生に教えていただいたところです。そのときは新緑のカーテンのように揺らぐ緑に感激したものでした。

紅葉と苔の美しい主庭「瑠璃の庭」


臥龍(がりょう)の庭


天に駆け昇ろうとする龍を水の流れと石組みで表したという池泉庭園。
比叡山の伏流水だそうです。
この水音がお庭全体に響いて、自然のなかにいると感じさせてくれます。水面に浮かんだもみじ、散りゆく美、ですね。

もう一つご紹介させてください。

ここはどこかご存じでしょうか?

先に見えている鳥居は今宮神社。
そう、この塀は大徳寺、高桐院の塀。数本ですが銀杏並木。
向かい側の銀杏はすっかり落葉していますが、


こちら側の銀杏は青空に黄色くまぶしく輝いていました。
黄色は元気を与えてくれる色かもしれません。
さまざまなことがあった今年、大変な年だけれど、さまざまに色づいた紅葉黄葉に心癒され、そしてパワーをもらえたような気がします。

 

 

 

 

 

 

平泉と萩

爽やかな秋の訪れを感じさせる頃となりました。

10月18日の「堤先生を慕う会」は予定通り行わせていただきます。気をつけてお越しください。

夏の暑さに疲れきった頃、萩がこぼれるような可憐な花を咲かせます。先日訪れた平泉・毛越寺(もうつうじ)では萩が見頃でした。

京都からは遠いのですが、堤先生から「義経の嘘」というタイトルで講義をしていただいたことがありました。

平泉といえば栄華を誇った奥州藤原三代が築いた奥州最大の政都。その仏国土をあらわすといわれる中尊寺金色堂。そして何といっても中心は京の義経の平泉への潜行ルートのお話。そして京都にあったといわれる平泉第(だい)。

地図と資料を駆使し京都と平泉を行ったり来たりしながら、歴史の謎を探り、解き明かしてゆかれるそのお話にどんなにわくわくしたことでしょう!

その講義を聴いて以来、平泉は憧れの、いつか訪れてみたい所でした。

ミヤギノハギは、歌枕の「宮城野の萩」にちなむといわれ、宮城県の県花となっていますが、ここ岩手の毛越寺でも三種類の萩500株が植えられているそうです。

 

毛越寺の浄土庭園。澄んだ空気のなか、大泉(おおいずみ)が池をめぐりました。心地よさは大自然に包まれているからでしょうか。

延年の舞が行われるという常行堂の横には遣水(やりみず)の遺構があり、池へそそいでいます。

青楓もすこーし色づき始めています。お地蔵さまもお堂の傍らで微笑んでおられます。

中尊寺へ。

月見坂を上り奥へ。下は弁慶堂です。木の根がびっしり覆っています。

本堂の庭にも萩が咲いていました。

金色堂の荘厳に圧倒され、外へ出て境内のお堂や苔むした庭を散策するうちその興奮が静まるようでした。

京都の萩といえば梨の木神社、常林寺。先生の現地案内がありました。先生には四季折々に咲く花や紅葉の名所をたくさん教えていただきました。

そして、夏の終わりは秋の初めに、さらに秋の終わりは冬の始まりにとつながる、「あわい」の時季。「間」とあてはめてよいのかどうか……。

季節の移りかわる時を先生は敏感に感じ取っておられました。

まだ暑さが残りつつ秋へと移行してゆく、萩の咲くこの時季に、思いがけず当地で思い出した先生の言葉です。