北野さんに初詣

三日ぶりの晴天と陽気にさそわれ、北野天満宮にお詣りしました。

1月25日は、本来ならば「初天神」で賑わいます。今年は丑歳、多くの方々の参拝が予想されましたが、コロナ禍で京都府に緊急事態宣言が再発令され、東寺の「初弘法」とともに縁日は中止となりました。

行事はなくとも、丑歳の年始めの縁日、初詣もかねてなんとかお参りしたく、梅はもう咲いているかしらん? あれやこれやと理由をつけてやってきました。

人出も少なめです。境内の撫牛(臥牛)はみな抗ウイルス・抗菌加工をされて、この時節でも撫でることができるようになっています。

臥牛のいわれは、菅原道真公が大宰府で生涯を閉じられた際、御遺骸を運ぶ途中で、車を引く牛が座り込んで動かなくなり、やむなく近くの安楽寺に埋葬したからとか。

梅は咲いてそうな気が! 咲いてました!

白梅の下、赤目の牛さんも心なしか穏やかに。

なぜ赤い目になったのか……
ご主人・道真公の大宰府配流の沙汰を知った牛が、これからはずっと主から目を離すまいと付き従い、見守りつづけ瞬きをしなくなったと、堤先生が熱心にお話くださったことが思い出されます。北野天満宮を学ぶ初めのお話でした。

先生のお話ぶりは、時空を越えてその情景を想像することができました。以後、天満宮や道真公について何通りもの話を紡いでくださいました。

心地よい風が梅の香をのせてきます。まさに馥郁、高貴な香り。

三光門の傍らの白梅。紅梅もちらほら咲き。満開はいつごろでしょうか、まだまだ程遠いけれど、青空に向かって咲く花を見られただけで心は晴れ晴れ。

唯一、境内で立ち姿の牛は拝殿上に。


人が少なく、まん真ん中で参拝させていただきました。こんなことは初めてで、かえって緊張します。
本殿で御祈祷されている様子がきこえてきました。疫病退散を願う気持ちはみな同じ。

境内をゆっくり回って、招福の枝「思いのまま」もいただきました。これは境内の1500本ほどもある梅の剪定時にでる梅枝(ずばい)に、厄除けの瓢箪をつけたもの。なかに玄米が入っています。春の縁起物ですね。

さて界隈を散歩。たくさんお店はあれど、はずせないのが「粟餅所 澤屋」さん。

当地で天和二年(1682)創業とのことですが、北野の境内にて販売の歴史はもっと遡ります。この地でも300年を越え、現在13代目。門前菓子の中でも代表格です。

こし餡ときな粉の二種類で包まれた粟餅(あわもち)は出来立て、ふんわり柔らか。甘さおさえめ、粟のつぶつぶが心地よく。当日中にお召し上がりをと。いくつでもお腹に入ります! 笑
先生も粟餅が好きだったなあとまた思い出し…。

現在は、上七軒までの今出川通に3月末までの限定で、桂の中村軒さんが出店されています。

落ち着いた町屋で、麦代餅(むぎてもち)のほか、白みそのお雑煮(2月まで)、おはぎやおぜんざいがいただけます。寒い季節には嬉しいですね。ほっこりします。機会があればぜひお立ち寄りください。

さいごに。こんなお地蔵さまを見つけたなら先生はニコニコ、カメラを向けておられましたよ!


京都はお地蔵さんの町でもあります。

雪景色 歳暮の朝に 

師走も半ばとなり、冷え込みが増してきました。

皆さま、お元気でおすごしでしょうか。

今朝は京都市内でもぐっと冷え込み、家々の屋根に雪が積もりました。
大徳寺山門、金毛閣も雪化粧です。

 

塔頭の瑞峰院へ。門を潜って玄関までのアプローチ。松や杉にふわりと積もった雪は清らか、陽に照らされた先端は見る間に溶けていきます。

方丈に上がり、お庭へ。

驚きました! 初めて見る景色です。
枯山水の白砂に雪が積もって…

ここ瑞峰院は、天文年間に九州豊後の大名・大友宗麟が、大徳寺第91世 大満国師・徹岫宗九(てっしゅう そうきゅう)を開山に迎え、自らの菩提寺として創建したお寺。

独坐庭(どくざてい)
方丈の正面にある蓬莱山庭園。大刈込と巨石で表した蓬萊山からのびる半島と小島に打ち寄せる荒波を砂紋で描く。百丈禅師「独坐大雄峰」の禅語からの命名。

積もった雪が白波のように見えます。

この景色に何を想うのでしょうか。
自然の織りなす造形は無限かもしれません。

下は方丈北側のお庭・閑眠庭(かんみんてい)
キリシタン大名・大友宗麟の思いを汲んだ枯山水の庭で、七個の石組みが十字架を形作っています。つたない写真ですが、十字に石が置かれているのがみえますでしょうか。こちらの庭もいつもとは違う表情。
閑眠庭は「閑眠高臥して青山に対す」からの命名。

本年は、京都・清遊の会では、堤先生という大黒柱が逝ってしまわれ悲しみに包まれました。
けれども、先生が、京都の歴史や文化を学ぶ喜びや楽しさを教えて下さったことで、これからも、京都のさまざまな風景に導かれ学んでゆけると思います。

本年にみなさまからいただきましたご支援に感謝いたします。
誠にありがとうございました。

来る年がどうか佳き年でありますように。