祇園祭に(Ⅲ)

 

717日 

いよいよ山鉾巡行当日。晴天に恵まれました!


京都・清遊の会の皆さまもたくさんの方々がお越しになったのではないでしょうか。


当日は四条室町、函谷鉾近くの二階から見学しましたので、

新町周辺の山鉾のみですが、ごらんください。

15日宵々山の町会所の様子もあわせてご紹介いたします。

まず長刀鉾から。

①長刀鉾.jpeg

②長刀鉾お囃子.JPG


囃子方の息もぴったり、向きもぴったりです!

ちなみに長刀鉾の長の字は織田信長が書いたと言われているそうです。

 

③三条小鍛冶宗近.JPG
大屋根後部の蟇股に、長刀鉾の名の由来となった三条小鍛冶宗近の像が見えました。

小鍛冶宗近が神剣を鋳造する姿を写したものと伝わります。


では巡行の順番に…
放下鉾が見えました。

④放下鉾.JPG


写真ではわかりづらいのですが、稚児人形「三光丸」が人形方によって稚児舞を演じています。


⑤放下 稚児舞.JPG
放下鉾といえば、洲浜形の鉾頭。
逆から見るとミッキーマウスの顔のような紋ゆえに親しみを感じてしまいます。


⑥放下 提灯.JPG
放下鉾の町会所があるのは古風な町名をもつ小結棚町。
町会所は京都市の有形文化財の指定を受けています。

 

⑦放下 町会所.JPG
会所には唐子が庭園に戯れる賑やかな図の見送りなどが飾られていました。

⑧放下 会所内部.JPG


⑨放下.JPG


今は皆川泰蔵作の「バクダッド」が巡行に使われていますね。

同じく皆川泰蔵デザインのフクロウの金具も見事です。


⑩放下皆川泰蔵.JPG


⑪皆川泰蔵裾金具.JPG
下水引は高山寺に伝来した国宝の絵巻「華厳宗祖師絵伝」の四場面を織り出したもの。


⑫放下 華厳宗.JPG
写真は新羅へ帰る義湘を慕う善妙が龍と化して海に身を投じた場面でしょうか。

詳しくは、堤講師の「京都・世界遺産手帳 高山寺」をご参照ください本


次は岩戸山。天岩戸伝説と国生みの神話を趣向としています。

⑬岩戸山.JPG
大屋根に安置されたご神体の伊弉諾尊像が見えました。

確かに走る姿勢、金色の眼をむいて…迫力です。


⑮岩戸伊弉諾尊イザナギノミコト.JPG
天照大神と手力男命のご神体は山洞内に。

鳥居に長鳴鳥がとまっています。
そのため岩戸山は真松には何もつけないのだそうです。

⑭岩戸山 (2).JPG


屋根下の前面には金の雲を背に戦う素戔嗚尊。
⑯岩戸山スサノオノミコト.JPG
後面には八岐大蛇と酒瓶の彫刻。

⑰八岐大蛇と酒瓶.JPG


身を乗り出して踏ん張って撮りました!
ちょっと怖かったです。


新町通の一番南ですから、山の上からは、
船鉾、放下鉾、南観音山などが1列に見通せます。

誰かさんなら到底できなかったでしょう。

 


ユニークな蟷螂山はいつも人気です。

蟷螂山.JPG


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今年は、町内で蟷螂がくるりと回って引いてくれるおみくじをいただいてきました。


船鉾が姿を見せました。

偉容というか、異様というか…。
さすが出陣の船!豪華絢爛です。
⑱船鉾 鷁.JPG

 

⑲船鉾.JPG
船首は想像上の瑞鳥、鷁(げき)。
大舵は見事な螺鈿の飛龍。

⑳大舵.JPG


御神体は神功皇后。
21船鉾 御神体.JPG
そして住吉明神、鹿島明神、龍神安曇磯良。

22船鉾御神体.JPG
会所飾りも厳粛な雰囲気でした。


船鉾をご紹介しましたので、
今年復興の話題でにぎわう大舩鉾を。


23 大船鉾.JPG
綾小路通をはさんでお隣の四条町の大舩鉾の居祭風景です。


24大船.JPG
大舩鉾は船鉾が出陣の船であるのに対し、凱旋の船。

現在、製作が始まっています。

復興が楽しみですね!

25大船 手ぬぐい.JPG


北観音山、八幡山、そしてしんがりをつとめる南観音山です。

26北観音山.JPG
27八幡山.JPG
28南観音山.JPG
函谷鉾が町内に帰ってきました。


29函谷鉾.jpeg
30函谷鉾嘉多丸.JPG
間近で見ると、見事な前掛けです。

タペストリーの画題は旧約聖書アブラハムの子イサクの嫁選び。

禁教下、函谷鉾が堂々とこの図を掲げて巡行していたとは驚きです。

稚児人形「嘉多丸」像もさぞお疲れでしょう。

町内では拍手で迎えられました。


鶏鉾も帰ってきました。稚児人形もよく見えます。


32鶏鉾.JPG
室町通を南に辻回しし、町内へと戻って行かれました。
31鶏.JPG
33菊水鉾.JPG


そして菊水鉾は室町通を北へ上がります。

 

33菊水鉾.jpeg
各町内では無事の帰還に安堵されていることでしょう。

本当にお疲れさまでした。

天候に恵まれ、今年は最高の山鉾巡行でした。

また来年をお楽しみに!!

 

祇園祭に(Ⅱ)

7月16日 宵山
八坂神社にお参りしました。
真夏のような陽ざしに楼門の朱色が照り映え、まぶしいばかりです。

宵山の祇園さんは賑やか.jpeg
舞殿には、前日の宵宮祭でご神霊が遷された御祭神の三基のお神輿が泰安されています。
お神輿は、素戔嗚尊を祀る中御座、櫛稲田姫命を奉じる東御座、そして八柱御子神を奉じる西御座。
西御座.JPG

西御座(八柱御子神)
中御座.JPG
中御座(素戔嗚尊)
東御座.JPG
東御座(櫛稲田姫命)  前には子供神輿

明日の神幸祭で、この三基のお神輿はそれぞれ神輿会の人たちによって担がれ、氏子区域のコースを巡り、四条新京極のお旅所へ向かわれ、24日の還幸祭まで留まられます。


そして明日は待ちに待った山鉾巡行の日でもあります。
祇園祭がいよいよクライマックスを迎えようとしています。


今日16日は表千家・裏千家が1年ごとに交代でお献茶を奉仕される祇園・八坂神社御献茶式が執り行われます。
今年は裏千家のご担当で、御家元のお献茶に引き続いて、境内や神社周辺では拝服席、副席、協賛席などのお茶席が設けられます。
界隈はお茶席を行きかう着物姿の方で華やいでいました。


菓匠会のお茶席.JPG
協賛席の一つ、境内の常盤新殿で催されている菓匠会のお席にうかがってきました。
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ここでは創作菓子の展示がおこなわれ、香煎とお菓子が出されます。

菓匠会の今年のテーマは「希望」。東日本大震災という大きな災害から復興の願いを込めてとのこと。


鶴屋吉信.JPG
「ひかり」 鶴屋吉信

鍵善良房.JPG
先斗町駿河屋.JPG

ほんとうに和菓子なのかと思うほど。匠の技ですね!
しばらく立ち止まらずにはいられません。
京華堂利保.JPG

「円」 京華堂利保
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「人の音」 末富
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「サマータイム・ブルース」 三條若狭屋
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「仲良き事は善き事なり」 長久堂

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「かけ橋」 嘯月
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「やすらぎ」 総本家駿河屋
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「萌」 塩芳軒
和菓子というと重厚な色合いをイメージしますが、明るくて爽やかで、涼しさの演出も素敵!
塗りの器など、うまく写真が撮れないものもあり、一部しかご紹介できないのが残念です。


このお席では老舗の菓子店のご主人方が袴姿でお茶の接待をされていて、ちょっと緊張してしまいます。


…先斗町駿河屋の水ようかん「竹露」や鍵善良房の「くず切り」など、
お店の名前から時候のお菓子が浮かんで食べたくなったりもして…


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当日出されるお菓子は六種類。
運ばれてきたお菓子には、「瀧つ瀬」という銘がつけられていました。
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餡の上に瀧に見立てて細く切った寒天がのっているのですが、
なんとその瀧の下には色濃くなった青楓が一枚。
瀧から透けて見えていたのはこの青楓でした。
繊細な意匠に感激しつつ、上品な甘味とお茶をおいしくいただきました。


外へ出るともう「石見神楽」を待つたくさんのギャラリーが集まっていました。
石見神楽は来年のお愉しみに。
毎年たくさんの積み残しが出ますが、
それが尽きせぬ祇園祭の魅力なのかもしれません。

 


 

祇園祭講座を終えて

京都・清遊の会では堤講師による世界遺産講座「祇園祭 山鉾巡行」の講座が先月25日に東京で、3日に京都で行われました。


同じテーマでも堤講師の講座は講座ごとに内容が違ってきます。
25日も3日も、3時間以上をかけ、祇園祭を巡ってさまざまな内容が縦横無尽に駆け巡りました。
東京での話は祗園社と稲荷社、そして稲荷社と藤森社の関係をユニークな「土地返しや」の神事にのせて、
京都では祗園信仰、とくにスサノオ信仰の話が記紀神話の秘密にのせて、それぞれ熱く語られました。
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                                             東京講座(於 きゅりあん)
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京都講座(於 京都北文化会館)

講座が始まると間もなく祇園祭というより、祗園祭そのものの根幹にかかわる歴史を話し始める堤講師。
前半は、二大御霊会といわれた祇園会と稲荷祭を対比させてのお話から始まりました。
稲荷社と東寺、祗園社と延暦寺の関係はこの講座のポイントでした。
そして八坂神社の成り立ちから、応仁・文明の乱をはさんで祇園祭が復興する過程。


後半は現在の祇園祭について。
神事における久世駒形稚児、行事における鉾稚児の話からはじまり、山鉾の見方、楽しみ方が実際の祭の進行に沿って面白く話されました。


堤講師はいつも言われます。
一つの社寺や行事などテーマそのものについてだけでなく、そのバックグラウンドを知ることで、さまざまな歴史上の関わりが見えてくると。
それらはいつか互いに結びついて歴史の太くて広い裾野に気づく。
そしてさらに学び、知識を深めてゆくことでその上に立つ高い塔が見えてくる。その高みから見ると全体の姿がわかる。
京都の歴史や文化を理解するとはそういうことなのだと。
狭い裾野の上に作られた塔は高そうに見えても脆い。高いところから見はらすために、広い裾野をもつことが大事だと。


そして現地に行って自分の目で見ることの大切さ。
覚えたことは忘れるかもしれないけれど、感じたことは絶対に残ると。


京都・清遊の会の講座はしばらくお休みさせていただきますが、
夏以降には堤講師がつれづれにいろいろなことを皆様に話しかけてくれるようです。
カテゴリーにちょっと変わった名前の項目がでてきたら読んでみてください。
堤講師のプレッシャーになるといけませんからあまり期待しないで(?)ゆるゆる待つことに致しましょう。
祇園祭においでの折にはくれぐれも暑さに気をつけられますように。そして存分にお楽しみください!

 

祇園祭に

梅雨明けとともに連日猛暑が続いています。
例年、祇園祭山鉾巡行の頃が梅雨明けですが、ことし近畿地方は七夕の翌日と早かったですね。
晴れの日が続けば祇園祭の気分もがぜん盛り上がります。


10日に鉾建てが始まると、もう気もそぞろ。
鉾建てを見に、ではなく、朝から京都文化博物館近くにある
亀廣永さんに出かけました。
銘菓「したたり」を買いに…。


「したたり」は菊水鉾の復興にちなんでつくられた菓子として、
また菊水鉾茶会に出される菓子として知られますが、
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なにより京都の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれるようなのど越しの良さが魅力です。
黒砂糖風味の琥珀羹は冷やしていただくのにちょうどいい甘さ。
暑い日盛りに山鉾を見て回り、帰っていただく「したたり」の美味しいこと!
日持ちがして常温で保存できるのも助かります。


菊水鉾は、菊の露のしたたりを飲んで七百年の長寿を保ったという中国の故事をもとに作られた、能楽「枕慈童(菊慈童)」に取材した鉾です。
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菊水鉾茶会では、巡行当日、鉾の上に乗る菊慈童人形の
稚児飾りを見ることができます。

近年まで菊水鉾の町内には金剛能楽堂がありましたが、その庭内に京都の名水の一つ「菊の井」という井戸があり、
この菊の井にちなんで「したたり」と名付けられたそうです。
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菊水の井跡  室町時代、茶人で千利休の師匠・武野紹鴎
はこの井を愛し、庵を結び、大黒庵と称しました。

この日も亀廣永さんにはお客さんがひっきりなしで、御主人も奥様も目の回るような忙しさにもかかわらずにこやかに応対されていました。


そしてもう一軒、堺町三条を上がって亀屋則克さんで
涼菓「浜土産(はまづと)」を。

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大正時代、初代が真夏でも日持ちするお菓子をと、
蛤に寒天、砂糖などを煮詰めて流し、浜納豆を一粒入れて作られたのだそうです。
桧葉を添えて籠に入っていると本当に磯の香りがしてくるような不思議な気がします。
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いただいた人がお鍋にいれて湯がいたという話は本当でしょうか?
まさか!さし上げるのに、これはお菓子です、と言わないそんな
いけずな(?)京都人はいませんよね。
いたりして(汗)。

いただくと、納豆の味噌の風味が広がります。
この涼味あふれるお菓子は、16日宵山の祇園祭献茶会のお茶席に出されています。


則克さんといえば、この時期には八坂神社の社紋の焼印が押された「葛焼」も有名ですね。
この日も祇園祭にちなんだ生菓子が幾種類も並べられていました。


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腰かけて生菓子を選んだり、待っている間に飾られているたくさんの干菓子の木型を眺めたり。
その日の気分に余裕を持たせてくれる貴重なひととき。
せわしい外の往来がうそのよう。ほっこりします。


いつのまにか陽が高くなって、日陰をもとめながらの帰り道、むくげの花を見つけました!
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と同時になつかしい記憶がよみがえってきました。


何年も前の祭釜の席。
床に生けられていたのは「祇園守(ぎおんまもり)」の花。

むくげの一種で、祇園祭の頃に咲くのでそう名付けられたとか。
白い清楚な一日花です。


なつかしい思い出とともに、今年もまた祇園祭がめぐってきたと実感した日でした。