清遊ブログ 春待つ京の…

立春を過ぎましたが、まだまだ寒さはきびしいですね。
皆さまにはいかがお過ごしでしょうか。

さきの節分は好天ともあいまってさまざまに賑やかでした。
前日の二日、千本閻魔堂引接寺(せんぼんえんまどういんじょうじ)へまいりました。節分には「えんま堂大念仏狂言」が行われることで知られています。
閻魔堂お詣り.jpeg
閻魔さん、いつ来てもいかめしく睨みをきかせてはります。
閻魔さん.jpeg
お詣りして、アツアツの「厄除けこんにゃく煮き」をいただきました。

こんにゃく炊き.jpeg

閻魔さまは嘘をつくのを大罪とされ、嘘をつくと舌を抜かれるといいますね。このこんにゃくは舌の形をしています。

こんにゃく、茶.jpeg

こんにゃく.jpeg


それに閻魔さまは裏表のないこんにゃくが大好物なのだそうです。
また、こんにゃくは「来ん、厄」とも「困、厄」とも。


境内の狂言堂には地蔵菩薩、開山の定覚上人、そして小野篁(おののたかむら)が祀られています。

ゑんま堂 狂言堂内部.jpeg

紫式部の供養塔と傍らには普賢象桜も。


供養塔と式部.jpeg
供養塔.jpeg
式部供養の石塔。小さなお地蔵さまがぐるりとめぐり、その上には薬師如来や弥勒菩薩の四座像。

ゑんま堂 普賢象桜1.jpeg
普賢象桜。この桜は茎が長く垂れ下がり、普賢象菩薩の乗る象の鼻に似ているところからの名。
ゑんま堂 普賢象桜.jpeg

ことしも供養塔の横に、こんな普賢象桜のふっくらとした花が見られるでしょうか。

北大路堀川から少し南には式部と小野篁のお墓が隣り合ってあります。
そしてこの寺も式部の供養塔があり、篁像も祀られています。


その昔、小説を書くことは罪深いこととされ、「源氏物語」を書いたかどで地獄に落ちた式部を、小野篁が閻魔大王にとりなして救い、ゆえに二人は一緒に祀られているといいます。
そうそう、堀川の墓所の桜も見事でした。

三日の節分には寺町広小路の廬山寺(ろさんじ)へ。


廬山寺19.jpeg

天気もよく日曜日とも重なって境内は賑やか。「鬼おどり」は3時からのはずですが、ずいぶん前なのにたくさんの人です。


廬山寺1.jpeg


廬山寺は正しくは廬山天台講寺と称し、
圓浄宗(えんじょうしゅう)の本山。
慈恵(じえ)大師良源(りょうげん)が船岡山南麓に開いた與願金剛院(よがんこんごういん)に始まります。廬山寺三世の明導照源(みょうどうしょうげん)上人により廬山寺に統合され、天正年間、秀吉によりこの地に移されました。
宮中の仏事を行う黒戸四ヶ院(くろどしかいん)の一つでもあります。

 


慈恵大師は比叡山延暦寺中興の祖で、正月三日に示寂されたので元三(がんざん)大師とも呼ばれ、角(つの)大師、豆(魔滅)大師、降魔(ごうま)大師などの別称でも知られます。
二本の角を持ち、骨と皮ばかりに痩せさらばえた鬼の像は魔除けの護符として、京都では家々の玄関に貼られているのをよく見かけます。

角大師衝立.JPG

本堂の前ではすでに「鬼のお加持」が行われていました。松明と宝剣を持った鬼さんに、僧侶の真言とともに、身体の悪いところのお加持をしてもらうのです。

鬼のお加持1.JPG

「どこが悪いの?」やさしく聞いてくれているよう。頼もしい鬼のお加持には長い列ができていました。

鬼のお加持2.JPG

 


さて、お加持の鬼さんは退出。
廬山寺3.jpeg
善男善女が見守るなか─

いよいよ追儺式(ついなしき)鬼法楽、通称「鬼おどり」が始まります。


管長以下、僧侶方が入堂、着座され、護摩供養が始まりました。
鬼法楽は、元三大師良源が村上天皇の御代、三百日の護摩供を修せられたときに悪鬼が出現、邪魔をしようとした際に、護摩の法力と大師のもつ独鈷(とっこ)、三鈷(さんこ)の法器により降伏させたという故事によるのだそうです。


鬼が姿を現しました!

廬山寺4.jpeg
たくさんの人のなかからゆっくりやってきます。

廬山寺5.jpeg

 


赤、青、黒。3匹の鬼たちは法螺貝と太鼓の音にあわせ、足を踏み鳴らし、暴れながらやってきました。

廬山寺7.jpeg
廬山寺8.jpeg
廬山寺9.jpeg
本堂に入り、僧侶の護摩供養のまわりをぐるぐる踊り、暴れまわります。

廬山寺10.jpeg
赤鬼は松明と宝剣をもち煙とともに。青鬼は大斧を、黒鬼は大槌を、それぞれ振り上げ振り下ろし、時々カッと睨んで回ります!
廬山寺11.jpeg
赤鬼 式部さんへ.JPG
堂内は松明の煙でもうもうとして、火の粉が飛び散ります。またその鬼の後を雑巾で拭いて回るのですから大変です。

黒鬼 式部さんへ.JPG

ようやく鬼たちが外に出ると、追儺師(ついなし)が東西南北と中央に邪気払いの法弓を放ちました。

廬山寺15.jpeg

廬山寺16.jpeg
そして、蓬莱師はじめ参列の方々から蓬莱豆や福餅が撒かれ、その威力に負かされた鬼たちは退散するという次第。

蓬莱師.jpeg


廬山寺豆撒き.jpeg
豆撒きになると境内はもう人でぎっしり! 立錐の余地もないくらいです。

「鬼がにげます!」というアナウンスで境内はどっと笑いどよめきました。


節分は、明日から季節が変わるというその前日をいいます。

赤・青・黒の鬼は人間の善根を毒する三種の煩悩、貪欲・瞋恚(しんい…怒り)・愚痴を表し、鬼法楽は、この三毒を新しい歳の変わり目といわれる節分に追い払い、福寿増長を祈念、悪厄災難を払い、新しい年を迎える法会なのだそうです。
はじめての鬼法楽は、迫力満点でした。
蓬莱豆.jpeg

福餅.JPG

蓬莱豆と福餅


さて、この廬山寺、かの紫式部の邸宅址で、もともとは式部の曾祖父藤原兼輔(かねすけ)の邸宅があったところとされています。
式部の碑.jpeg
紫式部と娘の大貳三位の歌碑

式部はここで「源氏物語」を執筆していたとも伝わります。


それが今は廬山寺となって、節分に「鬼の法楽」が行われているんですね!
あの世の式部さんもさぞびっくりでしょう。先ほどの光景!…

お邸、大変なことになってますよ! 


いえいえ、式部さんは涼しい顔で極楽浄土から毎年この節分会を見物しておられるのかもしれません()

千本閻魔堂も、ここ廬山寺も式部にゆかりの地で、偶然にも節分に訪れることになりました。

じつは紫式部は小学生の頃、偉人伝かなんぞの本で知って以来ずっと憧れの存在です。

百人一首を覚えてからは、必ず取らねば気がすまない札の十八番が紫式部。


「めぐ…」ときたら、「はいっ!」(笑)
かるた4枚.jpeg

お正月が来ると、式部やきれいなお姫様にまた会えるので、かるた遊びは子供ごころに楽しみでした。

今頃は「源氏物語」も、絵画資料がたくさん出版されていますから、源氏絵を楽しむことも容易になりました。


先日、和菓子司の塩芳軒(しおよしけん)さんで干菓子を求めました。

名前は「雪まろげ」。

雪まろげ.jpeg

 


「源氏物語」朝顔の帖に、雪が降り積もり、月明かりのもと、女童(めのわらわ)たちが雪玉を転ばして戯れ、その光景を光源氏と紫の上が眺めるシーンがあります。
「雪まろばし」とか「雪まろげ」という雪遊びであったようです。

土佐光起 源氏物語画帖 雪まろばし2.jpeg

       土佐光起筆 「源氏物語画帖」より


そんな雪玉を想わせる雪のようなお菓子。上品な和三盆が口の中で溶けてゆきます。
ずっと長くつくられてきたお菓子だそうですが、知らなかったのです。


他には「ふくべ、梅鶴(ばいかく)」が時候にかなうかも。
なんとはなしに風雅で、春の気分が浮き立つようで。梅鶴は梅風味。ふくべは黒砂糖入りの羊羹をすこし乾かしたような感触です。
ふくべ.jpeg
どちらも手のひらにのる小箱を求めました。雪まろげも、ふくべも梅鶴も繊細な干菓子です。


塩芳軒さんは、風格あるのれんに気圧されて、入るのに勇気がいりましたが、一足お店に入るとそんな心配は吹っ飛びました。
塩芳軒.jpeg
秀吉の建てた聚楽第址近くにあり、「聚楽」饅頭も知られます。


式部といえば紫つながりでしょうか、式部のお墓の近くにある紫野源水さんにも「式部せんべい」がありました。

紫野源水 表構え.JPG

ぱりぱりと食べてしまうのが惜しいような贅沢なおせんべい。

式部せんべい.jpeg


どうしてか、またお菓子のご紹介になってしまいました()…。

寒い中にも楽しみを見つけて過ごすうち、じきに春。


辛抱して春待つ京の節分会。
エネルギーはもう町に充満しています。

白梅.jpeg

 

 

ご報告とお知らせ

寒さ極まる時期ではありますが、すこしずつ日が長くなって、春の便りが待たれる頃となりました。

京都・清遊の会では、16日、堤講師の「魅惑の社寺 広隆寺」で今年の幕開けとなりました。
上宮王院太子殿.jpeg
              広隆寺 上宮王院太子殿
聖徳太子から秦河勝、そして秦氏から日猶同祖論、境内の解説ではご本尊の変遷や仏像の秘密、建築の興味深い話などなど、いつもながらの圧巻の講義が繰り広げられました。
そして19日「京都世界遺産講座 平等院」(京都)、27日(東京会場)が行われました。
いちばん美しい富士山でした。1月27日、東京講座への車中にて.jpeg
 27日、快晴の富士

三時間あるのになぜこんなに早く時間がたつのでしょう!!
末法とは? 白川金色院とは? 観無量寿経の十六観想とは? などなど、末法の世にタイムスリップしたかのごとく、講師の語る宗教観に耳を傾けました。

平等院 阿弥陀如来像2.jpeg

               平等院 阿弥陀如来像

31日には、「こころみ講座 新年の和菓子と京の菓匠」として中川による講座を持たせていただきました。

干支菓子、御題菓子、老舗の菓子司などご紹介、また、江戸から明治、明治維新からの和菓子業界の復興の力となった出来事などについてお話しし、菓子司「聚光」の珍しいはなびら餅を賞味しました。
質問の手も上がり、最後は食べて笑って賑やかな時間となりました。


CIMG4534.jpeg
       驚きの
ロングセラー「不老泉」 二條若狭屋

P1130197 (3).jpeg

   パワーポイントはうまくできたでしょうか?()


和菓子の文化にかぎらず、日々の京都暮らしのなかから見えてくる歴史の一端など、またお話しさせていただく機会があればと思います。


京都・清遊の会ではこの春も充実の講座・催しを予定しております。
(なお、2月の世界遺産講座は次ページをご覧ください。)

321日(木)、24日(日)  「八重の逸話と哲学の道散策」講師 堤 勇二
               (雨天時は永観堂見学)
   


新島八重墓.jpeg
        新島八重墓所(参考写真)

熊野若王子神社.jpeg

                  熊野若王子神社

4
7日(日) 「伊勢神宮の秘密」  講師 堤 勇二

① 宇治橋 大事なのは太陽ではなく、橋の真ん中のライン.jpeg

宇治橋 大事なのは太陽ではなく、橋の真ん中のライン。

② 外宮 御正宮 左の空き地が遷宮予定地 空き地でないのがわかりますか?.jpeg

外宮 御正宮 
 左の空き地が遷宮予定地 空き地でないのがわかりますか?

 


4
27日(土) 「和菓子における贈答の文化」    講師 井上由理子
また、東京堤塾は、3月より新たに「魅惑の京都」シリーズが始まります! 

京都も東京も、いずれも他では聞けない、とっておきの内容満載!


各催し・講座のご案内は順次アップの予定です。


本年も京都・清遊の会にお越しいただきますよう
どうぞよろしくお願いいたします!


広隆寺の椿.jpeg

                        広隆寺の椿

1月

◆講座のご案内


1月6日(日)  魅惑の社寺 「広隆寺」    講師 堤 勇二


  午前945分~   於 職員会館かもがわ   2千円
                                
                              (終了しました)


これは誰?
広隆寺 これは誰?.jpeg


ご存じですよね。この井戸。

広隆寺 ご存じですよね。この井戸。.jpeg


なぜこれを取り上げたのでしょう?

広隆寺 なぜこれを取り上げたのでしょう?.jpeg


泣き弥勒の秘密とは?

広隆寺 泣き弥勒の秘密とは?.jpeg


太子の話に大興奮!?

広隆寺 太子の話に大興奮!?.jpeg


1月19日(土)  京都世界遺産講座  「平等院」  講師 堤 勇二


             午後130分~   於 京都アスニー 5階 第7研修室
             
                                         3千円
                                     (終了しました)

いつ見てもいいですね。

平等院 いつ見てもいいですね。.jpeg



こういうものこそ大事なのです。

平等院 こういうものこそ大事なのです。.jpeg


1月27日(日)  東京堤塾 京都世界遺産講座 
 「平等院」   講師 堤 勇二


             午後130分~  於 江戸東京博物館 第1・第2学習室
                                    3千円    (終了しました)


どこの天井?

平等院 どこの天井?.jpeg


何絶の鐘でしたっけ?

平等院 何絶の鐘でしたっけ?.jpeg

1月31日(木) こころみ講座 「新年の和菓子と京の菓匠」
    午前10時~ 於 京都市北文化会館 第1会議室  2千円
                         講師 中川祐子

新年を迎え、京の和菓子司ではどんなお菓子がつくられているのでしょうか?
おすすめのお菓子もご紹介致します。お楽しみに!
巳の春.jpeg

P1130084.jpeg
お申し込みは右上のお申込みフォーム、ファクス、メールにて受付しております。


皆さまのお越しをお待ちしております!

          
          京都・清遊の会 事務局

        〒603-8341 京都市北区小松原北町13530108
            
TEL&FAX 075-465-9096  
            e-mail: info@kyo-seiyu.net



清遊ブログ  巳歳祈願 京の女神さまへ

いよいよ師走も押し詰まり、今年も余すところわずかとなりました。
来たる2013年、どうか良い年でありますように。願いを込めて、今年から来年の巳歳につながる京都をめぐってみましょう。
今年は「古事記編纂千三百年」でした。
はじめにご紹介しますのは梅宮大社(うめのみやたいしゃ)です。

003_R.jpeg 


四条通りを西へ向かい、「梅津車庫前」を過ぎると北へ。四条通りに面していないせいか、ふだんは静かなところです。
けれどここは平安京以前からの由緒をもつ古社。



◇梅宮大社─
梅宮大社は橘氏の祖、橘諸兄(たちばなのもろえ)の母・縣犬飼三千代(あがたのいぬかいのみちよ)が山城国綴喜(つづき)郡井手にお祀りしたのが始めとされ、のちに嵯峨天皇の皇后・橘嘉智子(たちばなのかちこ 檀林皇后)によってこの地に祀られました。

酒造の神さま、子授けの神さまとして知られる神社です。

 


ここで「古事記」をひもといてみましょう─
貴船 木花開耶姫1.jpeg
   木花開耶姫 堂本印象筆 (堂本印象美術館)


天照大神(アマテラスオオミカミ)の命により、高天原に降り立った天孫・瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)は、九州・笠沙の海岸で美しい木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)を見初めました。
ニニギは木花開耶姫の父・大山祇神(オオヤマツミノカミ)に姫との結婚を願い出て、結ばれ、やがて火遠理命(ホオリノミコト=山幸彦)ら三人の御子神が生まれます。

父の大山祇神はこれを喜び祝って、「天舐酒(あめのたむざけ)」を造られたと。
これが日本で酒を醸した始まりであると伝わっています。舐酒とは甘酒であったそうです。

 


CIMG3044.jpeg 

            「神話 古事記」より

梅宮大社では、
・酒解神(サカトケノカミ=大山祇神)
酒解子神(サカトケゴノカミ=木花開耶姫)
・大若子神(オオワクゴノカミ=瓊瓊杵尊)

・小若子神(コワクゴノカミ=彦火火出見尊=山幸彦)

の四柱がご祭神として祀られています。

上の絵の中にお顔を隠しておられるもう一人の姫神・磐長姫(イワナガヒメ)は木花開耶姫のお姉さんです。
じつはニニギノミコトが木花開耶姫を望まれたときに、大山祇神はこの磐長姫も一緒に嫁がせたのですが、ニニギは木花開耶姫だけを望まれ、磐長姫を返されました。

大山祇神は、木花開耶姫のように栄え、磐長姫のように永い命を持つようにと瓊瓊杵尊に二人を嫁がせたのですが、それがかなわず、それゆえニニギノミコトやその子孫、すなわち日本の天皇の命は永遠ではなくなったといわれます。

 


大山祇の神は山の神。そして娘の木花開耶姫は火の中で無事に出産したことから、山と火を司る神として富士山を賜ったとされ、富士浅間神社のご祭神として祀られています。

一方、縁に恵まれなかった磐長姫は、京都の北、貴船神社の結(ゆい)の社に縁結びの神となって祀られています。
P1260653.jpeg


◇ふたたび梅宮大社─

梅宮大社では、木花開耶姫の木花は梅花とされ、境内には、約40種の梅が植えられています。
012_R.JPG

010 .jpeg


本殿の屋根は橘。橘氏に深くかかわる社ゆえ。
011_R.JPG
お守りも橘の紋入り。
027.JPG
梅は「産め」に通じます。
005-1_R.jpeg
子授け祈願の「またげ石」。
014.JPG
絵馬は酉の日に醸す水=酒をあらわしているのでしょう。
絵馬.JPG

ここには神苑があります。
楼門をくぐると前に広がるのはその名も「咲耶池」。
019_R.JPG


まわりは梅・桜・かきつばた・あじさいなどが植えられた苑路になっています。
花咲く春が楽しみです。

鯉もたくさん。橋の上で餌をやると大勢やってきてびっくりです!

CIMG0827_R.jpeg 


向こうに茶室も見えます。
CIMG0818_R.jpeg
梅津の里は王朝時代には貴族の別荘が多くあったところだそうで、大納言源経信(みなもとのつねのぶ)が梅津の源師賢(みなもとのもろかた)の山荘を訪れ、辺りの風景を詠んだ歌が知られます。
「夕されば門田の稲葉訪れて 芦のまろ屋に秋風ぞ吹く」
茶室「池中亭」は、この風雅な屋根をもつ「芦のまろ屋」の昔の姿をとどめる茶室といわれます。
020_R.JPG


歌は百人一首にもとりあげられ、藤原定家の筆になる石碑も立っています。
022_R.jpeg022_R.JPG
梅宮大社のご祭神はファミリーの四柱が祀られていましたが、木花開耶姫をご祭神にお祀りしているのが、敷地神社。通称「わら天神」です。

◇敷地神社(わら天神)─

001.jpeg
003.jpeg
お詣りしたら、上を見上げてください。よく見ると妻飾りがなかなかいいのです。

007_R.JPG
006_R.JPG

     ハートに見える亥の目文があちこちに!


安産祈願で有名な神社ですが、木花開耶姫の由緒からつくられたのが、笹屋守榮の銘菓「うぶ餅」。
P1340347_R.jpeg
かわいらしい包装で、甘酒入りというのが肝心。
大山祇神が醸したのは甘酒でした。
010_R.JPG
九のつく日と犬の日は境内に茶店が設えられ、うぶ餅をいただくことができます。
笹屋守榮はわら天神のすぐ近くにあります。
011わら天神 笹屋守栄_R.jpeg

 


さて、お酒といえば松尾の神様にも詣でねばなりませんね。
梅宮大社からさらに西へ。桂川を渡ると松尾大社です。
◇松尾大社─

DSC_0379_R.jpeg

鳥居にさげられた脇勧請(わきかんじょう)
12本の榊の小枝は月々の作物の出来を占ったとか。閏年は13本さげられます。


「賀茂の厳神、松尾の猛霊」といわれ、カモ社とならび称された古格を誇るお社。
P1090139_R.jpeg
松尾山を背に、両流れ造りの屋根が美しい社殿。
松尾の神は松尾山の磐座に降臨したと伝わります。


ご祭神は大山咋神(オオヤマクイノカミ)。

もう一柱は中津島姫命(なかつしまひめのみこと)。別名、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。


大山咋神(オオヤマクイノカミ)は山の神様ですが、秦氏の崇拝していた氏神であり、醸造の神、日吉の神として知られます。
大山咋神.jpeg

市杵島姫命は、
多紀理比売命(タギリヒメノミコト)、多岐都比売命(タギツヒメノミコト)とともに宗像三女神(むなかたさんじょしん)の一番末の姫神。 
宗像三女神は、素戔嗚尊(スサノヲノミコト)と天照大神が誓約(うけい)をされたとき、スサノヲの剣から生まれた三姉妹の神々。

海上交通の平安を守護する玄界灘の神。宗像大社や厳島神社に祀られます。
末っ子の市杵嶋姫命はもっとも美しいとされ、記紀神話において代表的な海上神です。

市杵島姫命.jpeg 

  宗像三女神 (やよい文庫)


木花開耶姫といい、市杵島姫命といい、美人の神様なんですね!

松尾大社については、いつか堤先生に講座でじっくりお話していただくこととして…。


京都の酒造りにとって松尾大社はじつはとっても大切な神様です。
酒造りに関わる人々は必ず境内の亀の井の水をいただいて酒に入れ、醸造祈願をします。11月に「上卯祭」、4月に「中酉祭」が営まれます。

P1090166_R.jpeg
亀は松尾の神のお使いとも言われます。
P1090168_R.jpeg 


水の神様を祀る瀧御前社。鳥居の向こうに天狗の顔らしいものが浮かぶのですが、わかりますでしょうか?
DSC_0370_R.jpeg


DSC_0371_R.jpeg

じっくりさがしてみてください。これは近年有名になった話だそうです。

さて、市杵島姫命つながりで、河原町五条の近くにあります「市比賣(いちひめ)神社」にまいりましょう。

◇市比賣神社─


002.jpeg 


平安京の官営市場であった東市・西市の守護神として創建された市比賣神社は、現在も京都中央卸売市場に末社があります。
市場守護と、あわせて、現在は女人守護の神社です。一願成就の井戸「天之真名井」があり、この水は歴代天皇の産湯に用いられたと伝わります。
皇族・公家が生後五十日目には五十日餅を授かり、お食べ初め発祥の神社ともされています。

004_R.jpeg


ご祭神は五柱。

・市寸
()嶋比売命ほか宗像三女神(むなかたさんじょしん)
・神大市比売命(カムオオイチヒメノミコト)…スサノヲノミコトと結婚。
・下光()比売命(シタテルヒメノミコト)…大国主と宗像三女神の一番上のタギリヒメノミコトの間の娘。母子でお祀りされていることになります。


いずれも女の神様です。良縁・子授け・安産・厄除け。女性にとってはオールマイティの神様。


可愛らしい「姫みくじ」はお守りとして持ち帰っても良し、願い事を書いて奉納しても良し。
013_R.JPG
014_R.JPG
使わなくなったカードを納める「カード塚」は現代の生活にマッチしています。
カード形の「カード守り」もあるのです。

009.JPG

この日も参拝者が途絶えることなく訪れていましたが、お詣りして神社を出られるときの顔はどの顔も晴々としていました。
007.JPG

 


さて、市杵島姫命ですが、この神様は七福神のひとり、弁財天(弁才天)と同一視されることがあります。
200px-Benzaiten[1].jpeg

 


弁財天はヒンドゥ―教の女神サラスヴァティー(河神)が日本に来て習合された神様です。

なるほど、弁財天は水に関係するところ─島、池、泉などにお祀りされることが多いですね。寺院の池中の島にはよく弁天さまが祀られています。


名水のある八坂神社の本殿裏にも厳島社が祀られていました。
P1290231_R.jpeg
             厳島神社 文字がハート形?

市杵島姫命は海の神様ですから、弁財天やサラスヴァティーと習合していったことがうなずけます。
そして弁財天のお使いは巳(蛇)。巳成金(みなるかね)といって最初の巳の日は弁財天に詣るのだそうです。
ここでいよいよ「妙音弁財天」を祀る「出町 妙音堂」に到着です。
◇出町妙音堂─

001_R.jpeg

妙音堂は昔、琵琶をもって宮中に仕えた西園寺家のゆかりを伝え、「京都七福神」のひとつとなっています。
003.jpeg
004.jpeg

004-1_R.jpeg

巳さんがお祀りされていますね!
水の流れる音はすなわち妙音。妙音は音楽、技芸に通じ、弁財天は音楽や芸能に携わる人々の守り神ともなりました。


琵琶を奏でる優雅な弁財天は女性の憧れかもしれませんね。
才は才能、財は財産。
弁財天は福徳を授ける神様ともなり、江戸時代には大いに流行したそうです。

弁財天と巳さんがたくさん奉納されています。

006.JPG
008_R.JPG
009_R.JPG


こちらは「都七福神」のひとつ、六波羅蜜寺の福寿弁財天。

IMGP3884_R.jpeg


IMGP3885_R.jpeg
同じく六波羅蜜寺には銭洗い弁天も知られています。「京の七福神」の弁財天は三千院。天龍寺の「七福神」めぐりでは、慈斎院が弁財天です。

ことしの木花開耶姫から、「美女つながり」で巳年詣りのご案内(になりましたかどうか?)にたどりつきました。
京に祀られる女神さま。そのパワーをいただいて、来年もみなさまと共に元気に活躍できますように!
今回は、先日、JEUGIAカルチャーKYOTOでお話させていただきました「ビギナーのとっておき京都ガイド 京の初詣 美女祈願」から引用してのブログとなりました。1月は「和菓子事始め」を予定しています。(第3火曜夜7時~)ご興味がおありの方がございましたらどうぞお越しくださいませ。


今年も清遊ブログをご覧いただきありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



12月の予定

12月1日(土)  魅惑の社寺 「八坂神社」   講師 堤 勇二 (終了しました)

午前9時45分~     職員会館かもがわ

今や正門と間違われる南楼門。ちょっとした秘密、伝授します。

今や正門と間違われる南楼門。ちょっとした秘密、伝授します。.jpeg
境内の伊勢神宮 知られざるパワースポットです。
境内の伊勢神宮 知られざるパワースポットです。_R.jpeg


白朮詣りの本当の意味、ご存じですか?

白朮詣りの本当の意味、ご存じですか?.jpeg

 


12
月1日(土)  中村帆蓬(はんほう)
古典を楽しむ「源氏物語」挿絵展Ⅴ 
常夏~藤裏葉
見学とギャラリートーク      (終了しました)       
   


午後3時~    ぱるあーと    

CIMG2922.jpegCIMG2926.jpeg


12
月2日(日)  京都顔見世講座   講師 井上由理子   (終了しました) 


                                     午後2時~  京都市北文化会館                                      
  

010.JPG

12
22日(土)  京都世界遺産講座  「西本願寺」  講師 堤 勇二
                              午後130分~  京都市北文化会館 第1会議室  3千円

大書院・対面所の松 まるでお城です。

1 大書院・対面所の松 まるでお城です。_R.jpeg


これはどこですか? 恐るべき鳳凰の妻飾り。
2 これはどこですか? 恐るべき鳳凰の妻飾り。_R.jpeg


国宝・北能舞台。南能舞台との違いご存じですか?
3 国宝・北能舞台。南能舞台との違いご存じですか?_R.jpeg

大書院・雁の間 美意識の高さを感じます。
4 大書院・雁の間 美意識の高さを感じます。 _R.jpeg 


1224日(月・祝)  東京堤塾 京都世界遺産講座  「西本願寺」
講師 堤 勇二


午後130分~   きゅりあん 第二講習室    3千円

これは何? なんか埋まってますよ。
5 これは何? なんか埋まってますよ。_R.jpeg


飛雲閣を知るにはこれが最適です。
6 飛雲閣を知るにはこれが最適です_R.jpeg


この写真に本願寺信仰の秘密が隠されています。
7 この写真に本願寺信仰の秘密が隠されています。_R.jpeg


これは何だろう?
8 これは何だろう?.jpeg


白書院・一の間 ここにも本願寺宗主の文化水準が見えます。9 白書院・一の間 ここにも本願寺宗主の文化水準が見えます。_R.jpg



  お申込みは下記までメールあるいはファクスでお願いいたします。
ホームページ右上のお申込みフォームからもお申込みいただけます。
皆様のご参加をお待ちしております!!

 

   京都・清遊の会 事務局   

    〒603-8341  京都市北区小松原北町13530108

       TEL&FAX 075-465-9096  e-mail info@kyo-seiyu.net
 URL: http://www.kyo-seiyu.net

紅葉の本満寺.JPG

 

本満寺のもみじ