新春特別講座 報告

17日、堤講師の新春特別講座「続・堤流 京都の学び方」が開かれました。

たくさんの方にお越しいただきました。
満員御礼です!
ありがとうございました!
講座は、始まる前から今日はどんなお話が聴けるだろうという皆さんの期待でいっぱいに感じられました。

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まずは昨年暮れにホームページ上で堤講師が出題された清遊クイズを、解答していただきました。

答えは次のとおりです。
神社編
①御辰稲荷神社、宗旦狐、相国寺
②車折神社、富岡鉄斎、冨田渓仙
③瀧尾神社、大丸百貨店、下村家
人物編
④辰野金吾、伊東忠太
⑤黒田辰秋、上賀茂民芸協団
⑥林屋辰三郎、女性史
みなさんのお答えはいかがでしたでしょうか?
堤講師の解説は、一枚の画像から話がどんどん広がります。
聴いているうちに、いつも講師がおっしゃっているように、知識が点から線へとつながり、線から面へと形を変えてゆく面白さを実感できました。
難解に思われた答えですが、丁寧な説明のおかげでなるほどと受け入れることができました。
そして、講師が実践してこられた京都理解の秘訣を伝授。

最後に、講師が日本宗教の三大巨人と考える、空海、道元、そして大本教の出口王仁三郎(でぐちおにざぶろう)の、
今、京都府亀岡市で開かれている展覧会「亀岡で生まれた美と歴史 出口王仁三郎一門展」を紹介されました。
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「芸術は宗教の母」との思想を打ち出した出口王仁三郎の信念と、そして魂が震えるような素晴らしいその芸術について熱く語っていただきました。

堤講師はいつも新たな提案をしてくださいます。
そして講義を聴くたび新鮮な驚きがあります。
ただ伝えるだけではない何か。
講師の魅力はどこからきているのでしょう。
学問にたいする真摯で謙虚な姿勢。
そして自身が感動した事柄を私たちに率直に語ってくれること。

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わくわくしながら京都を学ぶ、私たちもかくありたいと思います。
講座を終えて―
堤講師が「こんな歌ができました」と、教えてくれた歌があります。
こっそりご紹介します
(笑)
  
  新しき血の混じりたる宗教(おしえ)ほし
    空海
道元 王仁三(おにざ)はいづこ 
 
過去の歴史を語るのみならず、現在を見据え、そして未来への提言を発する堤講師に脱帽です。


堤先生へ
これから手術を受けられるとのことですが、
京都・清遊の会の皆さんとともに、一日も早くお元気になられるよう祈って、また先生の講義が聴ける日を首を長くして待っております!
素晴らしい講義をありがとうございました
!

清遊ブログ  辰歳はじめ 雪の朝に

新しい年が明け、初めての雪が降りました。
雪は吉兆のしるし。
ことしが佳き年となりますように願い、折々に再びブログを書かせていただきたいと思います。
相も変わらず拙いものですがご覧いただければ幸いです。

うっすら雪化粧した町の風景。
朝方はかなり降っていたようですが、だんだんやんできました。じきに融けてしまうかもしれません。
まずお山(比叡山)を見たいと思って出てきたのですが…。
北山通りを賀茂川に出て、加茂街道を南へ。
残念ながら曇っていて見えません。代わりに薄化粧した大文字山の姿が。これは京都に住んでいると馴染みの風景かもしれませんけれど。
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やはりホームグラウンド?の大徳寺山内に戻って来ました(笑)。
高桐院の石畳。翠の松が雪を被って新年にふさわしい趣。
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そういえば、お気づきかもしれませんが、このホームページの表紙デザインも高桐院の雪景色です。

北側に回って竹林を見上げるとしんとして澄んだ空気。
粉雪が舞っています。
耳を澄ますと鳥のさえずり。
風が吹いて竹がざわざわ鳴る音。
聞こえるのは自然の音だけです。
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向かい側の龍翔寺。龍翔寺は修行道場ですが、そのせいでしょうか、やはりピンと張りつめた空気を感じます。
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ここはいつ来ても静かで清々しいところです。

大徳寺は龍宝山の山号を持ちますが、山内の塔頭も龍の名を冠するところがいくつかあります。
この龍翔寺もそうですし、龍光院、龍源院、龍泉庵なども。
大徳寺の近くの船岡山には東麓に大池があり、山の東端が池中に突き出し、それが海に浮かぶ大船のようであったところから船岡と呼ばれたと堤講師から教わりました。
その大池に棲む龍という意から大徳寺を龍宝山と名付けたのだそうです。

さて、新年も5日ともなれば町の中は日常の顔に戻っています。
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なにやら面白そうなものを見つけました。

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ここは堀川今出川の交差点。和菓子の鶴屋吉信さん。
表のディスプレイは「嵯峨面」と餅花のお飾りでした。
嵯峨面は十二支のお面が並んでいます。
(子、丑、)寅、卯…。
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ありました!辰…お隣は来年の干支・巳さんですね。
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午、未…。
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嵯峨釈迦堂(清涼寺)では古くから大念仏狂言が行われていますが、この大念仏狂言で使われる面を模して作られたのが嵯峨面だそうです。
江戸時代以降、厄除けや魔除けとして寺社の門前で売られていましたが、戦時中に完全に途絶え、復興したのが、初代藤原孚石氏。
赤鬼、青鬼、お多福、ひょっとこ、武悪面、不動明王などあり、それぞれに素朴で味わい深いものです。「張り子」といわれる手法で、古書をさばいて面型に張り込んで作られているのだそうです。
 餅花にも辰が飾られて、愉快そうに空中でゆらゆら踊っています。
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嵯峨面に誘われて広々した店内へ。
ウインドウを覗きこみ…いろいろと迷いながらも、辰()の意匠から主菓子と干菓子を選びました。
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主菓子のじょうよ饅頭は龍頭の宝船。
龍頭というと大沢の池、観月の風景を連想してしまいますが、宝船となるといっそう豪華ですね。
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お干菓子は辰車。かわいらしい辰です。
 
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こんなものもありました。この本店だけで販売されている「観世井」のお菓子。
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すぐ近くの西陣中央小学校に、足利義満から観阿弥清次が拝領したと伝わる屋敷地があり、観世水
(かんぜみず)と呼ばれる井戸跡があります。

この井戸の渦を巻いて湧く波紋が観世流の紋様である水巻模様のもとになったといわれ、井戸の脇にある観世稲荷社には観世龍王と一足稲荷が祀られています。
昨秋、紫野・西陣案内で訪ねたばかりですが、「観世井」のお菓子を見て思い出してしまいました。
この鶴屋吉信本店の前には「舟橋」の石碑が建っています。

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古くから舟橋と呼ばれ、堀川が氾濫すると舟をつないだところからそう呼ばれた由。
また「京町鑑」では足利尊氏の執事・高師直の邸があり、泉殿の下に舟橋をうかべて結構をつくしたのが地名になったと記されている等。
ご存じのとおり、なによりここは応仁の乱で西軍の山名宗全らの陣がおかれたところ。もう少し西に行くと今出川通りに「西陣」の碑が建っています。
またまたローカルなご紹介になってしまいました。
ローカルついでに、昨秋のご案内の折にはまだ咲いていませんでしたので、
妙蓮寺椿と、同じく妙蓮寺のお会式桜をご覧ください。
いずれも年末に撮ったものです。
 


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すこし華やいだ気分になっていただけたでしょうか。
このブログでは季節の風景、風物といったものをご紹介したいと思っておりますが、どうなりますことやら…。
どうか気長にお付き合いください。それではまた。