錦秋の頃となりました。
ことしは十月に冷え込んだせいでしょうか、美しい紅葉が見られるようですね。
今回は洛北の紅葉を訪ねました。
まず「床もみじ」で知られる岩倉実相院から。
山門の手前からのぞいていた鮮やかな赤はこの紅葉。
門跡寺院らしい格式あるたたずまい。
お地蔵さまも染まりそうですが（笑）
境内のなにげない景色のぜんぶが絵のようです。
そして実相院近くにひっそりたたずむ「岩倉具視旧宅」。落ち葉が似合う風景。
実相院から宝ヶ池へやってきました。
雨あがりでしたので、たっぷり水を含んだ鮮やかな紅葉です。
池の向こうには雲の切れ間から比叡山が見えかくれ。幻想的な景色。
西賀茂の「神光院」は太田垣蓮月尼が隠棲したところ。
夏は土用のきゅうり封じで有名ですが、
季節が変わるとこうも印象がちがうのかと驚かされます。
境内奥の中興堂。
朝の光が差し込んで輝く紅葉。…言葉がありません！
そして神光院にほど近い「正伝寺」は山道の風情を味わえるお寺。
山号は吉祥山。
血天井で知られる寺でもあります。方丈からみた七五三の庭。
比叡山を借景としたお庭ですが、残念ながらうまく写せませんでした。
お庭もですが、方丈では狩野山楽の襖絵も素晴らしく、こちらもおすすめです。
いつだったか、雪で真っ白なお庭を見たことがありました。ここまで登ってくるのにひと苦労で…。
鐘楼あたりの紅葉も必見です。
そして最後に─
燃えるようなこの紅葉をごらんください！
紅といえばよいのか、朱といえばよいのか…
「西方寺」です。山号は来迎山。
そして大船院という院号をもつ、五山送り火の「船形」ゆかりのお寺。
西方浄土に向かって漕ぎ出す大船はお迎えの船。
堤講師のお気に入りの地でもあります。
ここには先ほどの蓮月尼や北大路魯山人など著名な人々のお墓がありますが、この地の由緒はいつか堤講師の現地案内をおたのしみに！
西方寺はふだんは訪れる人もめったにありません。
ですが、山門脇の紅葉は遠くからでもはっと目をひくような鮮やかさ。
湧きあがるような精気が感じられて、思わず釘づけになってしまいました。
この紅葉に出会ったがゆえに、この美しさをお伝えしたかったのです。
どうぞまた来年も、再来年も、この紅葉が見られますように─。
