清遊ブログ  同志社の梅に

三月に入り寒い中にも春の兆しが感じられるようになりました。


風は冷たいけれどよく晴れた日、同志社大学の今出川キャンパスで。

御所の今出川御門向かいの正門から入って歩いていると満開になった白梅の木が目に入りました。
誘われるように木の下にきて見上げると、通路をはさんで向かい側に「クラーク記念館」がそびえるように建っています。

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いつもは学生たちで賑やかなキャンパスも今は春休みの時期だからでしょうか、ほとんど人気がなく、青空をバックに建つレンガ造の建物は
1枚の絵のよう。
空に向かって延びる尖塔も胸のすくような気持ち良さです。

クラーク記念館は神学館としてチャペルをもち同志社今出川キャンパスのシンボル的な建物。

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(新島襄永眠後、卒業生らが神学館建設に奔走していたところ、アメリカのクラーク
 夫妻が早世した息子のメモリアルのために寄付したもの。
1894年。重要文化財)

飽かずにしばらく眺めてまた歩き出し…

よく見るとここにもあそこにも、とあちこちに梅が咲いています。


紅梅も白梅もとりまぜて。

「ハリス理化学館」の横には白梅。清々しい白です。向こう側に見えるのは相国寺の屋根。風があるのでいい香りがしてきます。

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ハリス白梅1.jpeg

今年初めての梅の香にうれしくなりました。


この建物の前は紅梅が植えられていました。ハリス理化学館は二階が記念ギャラリーになっていますので、昨年見学された方もおられるかもしれません。

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清遊の会でも昨年六月に京都講座の一環で、相国寺とこの今出川校内をご案内しましたが、そのときは梅の木がこんなにあるとは気づきませんでした。


咲いてこそ気づくというもの、ですね(笑)


NHK
大河ドラマは「八重の桜」のタイトルで、八重さんは桜にもたとえられましたが、同志社の創立者で夫の新島襄はじつは梅をたいへん好んだのだそうです。
新島襄は「寒梅」によせて漢詩二篇を残しています。


 
 庭上一寒梅 笑侵風雪開

 不争又不力 自占百花魁

 
 
 庭上(ていじょう)の一寒梅(いちかんばい) 

 風雪を侵して開き笑(咲)く

 争はずまた力(つと)めず  

 自ずから占(し)む百花の魁(さきがけ)


 

一番咲きを競ったのでなく、自らの力で咲いて、百花のさきがけとなった寒梅。春の陽気に誘われて咲く桜ではなく、厳しい寒さに耐えて咲こうとする梅。


そんな梅を称えて、含蓄の深い詩。

もう一篇、

 
 真理似寒梅 
敢侵風雪開

 

 
 
 真理は寒梅に似り

 敢えて風雪を侵して開く


 

この詩は、お隣の「同志社礼拝堂」脇の「寒梅碑」に刻まれています。

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開拓者としての道は険しい道。新島襄は寒梅のように生きたいと願い、まさにそう生きた人でした。そして妻の八重もまた襄に寄り添い、夫亡き後もその精神を受け継いだ生涯を送りました。

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礼拝堂の前には紅梅と白梅が左右に植えられています。

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いま仲良く咲きそろう満開の梅。
 
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この紅梅と白梅。襄と八重にたとえておきましょう。(笑)

隣の紅梅とも調和して、馥郁たる香が匂っていました。
礼拝堂はプロテスタントのチャペルとして日本に現存する最古の建物です。

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(正面に円形のバラ窓、左右にアーチ窓、その前に屋
根と尖りアーチの入口を持つ。
1886年。重要文化財)

礼拝堂の西には彰栄館が建っています。京都では最古のレンガ造建築です。

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(礼拝堂とともにアメリカン・ゴシック建築。内部は
 純和風。
1884年。重要文化財)


横に回ってみると塔屋がよく見えます。
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この塔屋は鐘塔と時計塔を兼ねています。風格をそなえた美しさですね。惚れ惚れします。

ここにも梅が咲いていました。お気に入りの1枚、ごらんください。

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さて、せっかくここまで来ましたので、新しくできた「良心館」を覗いてみましょう。

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立派な建物ですね!

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良心館は烏丸通に面し、地下鉄今出川駅の連絡口もあります。

向かいは尼門跡の大聖寺、その隣はやはり同志社大学の「寒梅館」(写真下)があります。

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良心館は地階につづく大きな階段があり、降りると吹き抜けのテラスになっています。

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1階は広―い廊下を進むと、これまた広々したカフェテリアがあります。

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廊下には、有難いことに案内板が設けられ、工事中に出土した相国寺の遺物が展示してあります。

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床にも仏堂の基礎に使われた石などが見えるようにディスプレイされています。

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また歴史遺産シアターとしてパネルが設置され、この地の歴史や出土品の解説が行われています。

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相国寺や花の御所など、いずれ、清遊先生にぜひとも講義をしていただきたいですね!

ここ1階のフロアは一般の人も入れて、廊下を歩きながら歴史の一端に触れることができますので、御所や相国寺など近辺に来られる折に立ち寄ると面白いかもしれません。


そうそう、先生は四月から母校同志社大学で講義を持たれるのだそうです。

フラッと立ち寄られたキャンパスで、もしも…先生を見かけたらお声掛けください!()


キャンパスの風格ある赤レンガの建物と清楚に咲く梅は、冬枯れの景色に疲れた目にまぶしく映りました。
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ひとつひとつの建物は同志社英学校として出発して以来の歴史を繋いできた証し。
そして、同じ場所でも季節が移れば景色も変わるように、校内の梅の木にも初めて気づかされました。

いよいよ春。待ち望んだ季節ですね。心動かされる風景に、また出会えますように─。


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魅惑の京都 第2クールのお知らせ

京都・清遊の会

魅惑の京都 ご案内

 弊会では下記の日程で「魅惑の京都」講座第2クール(京都会場)

開催いたします。

 お誘い合わせの上、ふるってご参加下さい。

※講義はいずれも午後130分から430分頃まで。

2月22日(土)職員会館かもがわ

「天神信仰と北野天満宮」

 北野天満宮の案内だけではなく、

 天神信仰の起こりと広がりもご紹介します。

 寒門から位人臣を極め、不幸の果てに怨霊と化した

 悲劇の天才、道真の生涯についてもお話します。

 どうぞご期待下さい。

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本殿の後ろに、

いずれ劣らぬ強力な怨霊のオンパレード

なぜこの方々がここに?

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旅情を誘う上七軒のつなぎ団子

この風情もまた天神信仰のなせるわざ

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谷保天満宮の絵馬

ここから生まれたある言葉 ご存じ?

3月29日(土)職員会館かもがわ

「東本願寺の圧巻!」

 西本願寺と同時に建立されながら、世界遺産からは洩れたのはなぜ?

五度の大火を経ながら、そのたびに巨大になって復活する

 不死鳥の巨刹の魅力を存分にお楽しみ下さい。

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ユニークな意匠です。

この庭はいつきても飽きませんね。

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いいなあ! この形、この景色。

この橋、また名前がいいんだなあ!!

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おやおや、一転して今度は近代的意匠!

新旧が緩やかに交差するお寺、それが東本願寺です。

4月26日(土) 職員会館かもがわ 

「巨刹・知恩院 浄土信仰の総本山」 

     

 知っているようで意外に知らないのが知恩院というお寺です。

 広い境内を隅々まで歩いたことありますか? 

 三門楼上からだけでは決して分からないこの寺の魅力、

 是非お伝えしたいです。

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やはりこの方についてお話しましょう。

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ここには行かれましたか?

ここに座ってこそ、この寺の素晴らしさがわかります。

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濡髪祠 

この祠の前も後も大事なんだなあ!

5月31日(土) 職員会館かもがわ 予定

「天台の眼目 古刹・青蓮院」

 天台宗三門跡の一つ。平安の雅と貴族の風雅、

 そして皇室の縁を伝える古刹・青蓮院。

 もっとも京都らしい寺院の一つがこの寺院だと思います。

 ところでタイトルに「天台の眼目」とつけた理由、

 お分かりですか?

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ここ、お庭、いいですよね。

たくさんありますよね。

ライトアップだけじゃないんです。

本当の魅力は日常の中に……

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青蓮院といえば青不動。

周辺の話も是非お楽しみ下さいね。

青蓮院 楠.jpeg 

見よ! この圧倒的存在感!

皆さんの誰よりも長生きなんです。

たくさんの出来事、見てきてます。

ご参加費 

 全回申込は12千円を1万円に割引。 

 各回申込一回3千円。

※お名前、ご住所、お電話、全回か各回かを明記の上、

メール・ファクス・本ホームページ右上の

「お申し込みフォーム」にてお申込みください。(前金制)

振込先

・京都銀行 紫野支店(162) 普通3236638京都清遊の会代表西山祐子

・みずほ銀行 出町支店(587普通1161285  京都清遊の会

330日(日)31日(月)の両日、

 東本願寺界隈散策を予定しています

 講座とあわせて是非ご参加下さい。

 詳細は別途案内いたします。