節分から立春へ 初午の伏見稲荷

二月を迎えました。
あまりの寒さに、衣(きぬ)を更にもう一枚着ることから、衣更着=きさらぎと言うそうですが、暖かい日もあるかと思えば雪のちらつく日もあり、春が待たれる頃ですね。
お元気でおすごしでしょうか。

今年は2日が節分、翌3日が立春となりました。
節分の京都は暖かいけれど風の強い日でした。多くの社寺で、人の集まる豆撒きなどの行事を中止されていますが、それでも例年のように参詣の人々の姿が見られました。

聖護院


ろうそく1本献じてお参り。


大護摩供の準備もととのえられていました。

今年はこの「陀羅尼豆」をいただきます。


雲龍梅が力強く(?)咲き始めていました。満開が見てみたいです。

須賀神社では


節分におきまりの「懸想文売り」の姿。昔、文を結びつけた梅の枝を持ち、売り歩いたといいます。懸想文はラブレターのこと。この懸想文には良縁を願う祝言が書かれています。以前は、女の子が生まれると毎年節分に懸想文をいただきに行ったというお家も。
良縁が来ますように !(^^)!


節分には例年、鬼の姿や甘酒や八ッ橋の接待で賑わうこの聖護院界隈ですが、山伏姿や懸想文売さんを見られただけでも有難いです。

節分は季節の分かれ目の春夏秋冬の4回ですが、いまは立春の前日だけをいうようになりました。
旧暦では立春は新年を意味しますから、節分は大晦日、翌日はお正月ということになります。年が改まったと思うと気分もかわりますね。

そして今年、立春は2月の初めの午(うま)の日にあたります。
初午の日に稲荷大神が稲荷山に降り立ったという縁起から、伏見稲荷では初午大祭が催行され、古来より多くの参拝者で賑わってきました。




いつもながら凛々しい 姿。ここでは鍵と宝珠を加えていますが、狐のくわえる四つのもの、堤先生から教わりました。

お稲荷さんでは狐は神様のお使いですが、もともとはインドの神「ダーキニー」が仏教の守護神となったもの。日本では荼枳尼天(だきにてん)と呼ばれます。
そして狐の古語はケツネ(と発音するそうですが)。ケツネは食つ根(けつね)、つまり食物の根源をあらわすもの。ケツネがキツネになり、ダーキニーとも習合して神のお使いになったと。
ゆえに稲荷の神は食の根源を司る神と教わりました。

拝殿にはお神酒のほかにも立派なお供えの数々…


 

上の二点の写真、「畑菜(はたけな)」がたくさん奉納されています。

和銅4年(711)秦伊呂具(はたのいろぐ)が稲荷山の三カ峰に社を建て、神を祀ったという縁起から、初午の日には秦(はた)つながりで、畑菜のからし和えをいただくのだとか。
伊呂具の射ようとした餅が白鳥となり、その白鳥が降りたところから稲が生えたという稲荷の由来からも、稲荷の神は五穀豊穣をつかさどる神様。
まだまだ続きそうなコロナ禍の現在、食と健康の大切さを願わずにはいられません。初午は、いなり寿司をいただくのも忘れずに。笑

例年のように「しるしの杉」も授与されます。  

験(しるし)の杉
創建の縁起にかかわる杉は稲荷のご神木。木の昌(さかん)に生い繁ることから「椙」とも書き、富の木ともされます。
お稲荷さんにまつわる話は本当に奥深いですね。


千本鳥居
静かななかに森厳さが感じられます。
   

たくさんの鳥居に驚きます。

縦横のバランスもさまざま。笑


偶然、初午の今日、奉納される姿もありました。鳥居の奉納は心願成就が成ったお礼です。

熊鷹社までお参りしました。


今日も静かなお参りでした。参拝に来られない方々に、京都のひとコマをご覧いただけたら嬉しいです。一日も早く普段通りの生活が戻りますように。

 

北野さんに初詣

三日ぶりの晴天と陽気にさそわれ、北野天満宮にお詣りしました。

1月25日は、本来ならば「初天神」で賑わいます。今年は丑歳、多くの方々の参拝が予想されましたが、コロナ禍で京都府に緊急事態宣言が再発令され、東寺の「初弘法」とともに縁日は中止となりました。

行事はなくとも、丑歳の年始めの縁日、初詣もかねてなんとかお参りしたく、梅はもう咲いているかしらん? あれやこれやと理由をつけてやってきました。

人出も少なめです。境内の撫牛(臥牛)はみな抗ウイルス・抗菌加工をされて、この時節でも撫でることができるようになっています。

臥牛のいわれは、菅原道真公が大宰府で生涯を閉じられた際、御遺骸を運ぶ途中で、車を引く牛が座り込んで動かなくなり、やむなく近くの安楽寺に埋葬したからとか。

梅は咲いてそうな気が! 咲いてました!

白梅の下、赤目の牛さんも心なしか穏やかに。

なぜ赤い目になったのか……
ご主人・道真公の大宰府配流の沙汰を知った牛が、これからはずっと主から目を離すまいと付き従い、見守りつづけ瞬きをしなくなったと、堤先生が熱心にお話くださったことが思い出されます。北野天満宮を学ぶ初めのお話でした。

先生のお話ぶりは、時空を越えてその情景を想像することができました。以後、天満宮や道真公について何通りもの話を紡いでくださいました。

心地よい風が梅の香をのせてきます。まさに馥郁、高貴な香り。

三光門の傍らの白梅。紅梅もちらほら咲き。満開はいつごろでしょうか、まだまだ程遠いけれど、青空に向かって咲く花を見られただけで心は晴れ晴れ。

唯一、境内で立ち姿の牛は拝殿上に。


人が少なく、まん真ん中で参拝させていただきました。こんなことは初めてで、かえって緊張します。
本殿で御祈祷されている様子がきこえてきました。疫病退散を願う気持ちはみな同じ。

境内をゆっくり回って、招福の枝「思いのまま」もいただきました。これは境内の1500本ほどもある梅の剪定時にでる梅枝(ずばい)に、厄除けの瓢箪をつけたもの。なかに玄米が入っています。春の縁起物ですね。

さて界隈を散歩。たくさんお店はあれど、はずせないのが「粟餅所 澤屋」さん。

当地で天和二年(1682)創業とのことですが、北野の境内にて販売の歴史はもっと遡ります。この地でも300年を越え、現在13代目。門前菓子の中でも代表格です。

こし餡ときな粉の二種類で包まれた粟餅(あわもち)は出来立て、ふんわり柔らか。甘さおさえめ、粟のつぶつぶが心地よく。当日中にお召し上がりをと。いくつでもお腹に入ります! 笑
先生も粟餅が好きだったなあとまた思い出し…。

現在は、上七軒までの今出川通に3月末までの限定で、桂の中村軒さんが出店されています。

落ち着いた町屋で、麦代餅(むぎてもち)のほか、白みそのお雑煮(2月まで)、おはぎやおぜんざいがいただけます。寒い季節には嬉しいですね。ほっこりします。機会があればぜひお立ち寄りください。

さいごに。こんなお地蔵さまを見つけたなら先生はニコニコ、カメラを向けておられましたよ!


京都はお地蔵さんの町でもあります。