清遊ブログ  大田の沢のカキツバタなど

風薫る五月。
季節は移り、新緑が目に染みる頃となりました。

上賀茂の大田神社に出かけました。

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京都に住んでいてもなかなかタイミングよく花の咲く頃に行けることがないのですが、今年の「かきつばた」はどうでしょうか。


神社の辺りは連休が明けたところで、ようやく静けさを取り戻していました。

お参りするより先に大田の沢をのぞいてみます。

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咲いていました!
見たかったこの景色がありました。

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周囲の新緑に溶け込んだ、紫と緑の見事なこと。
古代より群生しているという野生のかきつばた。

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「神山や大田の沢のかきつばた 
   ふかきたのみは 色にみゆらむ」

俊成の歌に詠まれた風景は目の前にあります。

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この大田の沢も、深泥池も、昔、京都が海だったことを示すもの。
今が見ごろで、5月20日頃まで楽しめるそうです。
さて参道を進み、本殿にお参りします。

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大田神社は上賀茂神社の境外摂社で、上賀茂神社より先に祀られていたこの地域一帯の地主神。
そして上賀茂さんの摂社はすべて拝殿を持っていると先日の講座で教わりました。

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御祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)。
拝殿は割拝殿になっています。


ここで、毎月十日の夜、ちゃんぽん神楽が奉納されます。


参道の両側には白鬚社、百大夫社、鎮守社。
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参道の入り口には福徳社があります。

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大田神社をあとに、賀茂川の東にある府立植物園のなかの「半木(なからぎ)神社」へ。
半木神社へは北山通り側の入口から入ると近いのです。

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半木神社のある「なからぎの森」は周りに池がめぐり、庭園の景をなし、静かで素晴らしいところ。
木々が茂り、下草や土を踏んでの散策は気持ちが休まります。
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風が渡ると水面が揺れて。
いつまでも佇んでいたいお勧めの場所です。
こんなほほえましい光景も。

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半木神社の御祭神は天太玉命(あめのふとだまのみこと)。
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この辺りは錦部(にしごりべ)の里といい、カモ氏によって開墾された地で、古く養蚕製糸の業が営まれたところだそうです。

カモ族と秦族の人々がこの業の守護神として四国阿波国から天太玉命を勧請したと伝えています。
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最後に同じく上賀茂神社の末社「小森神社」をご紹介しましょう。
北山通りと大宮通りの交差点から少し北へ行き、東に折れたところ。



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小森社はなんと緑町公園という児童公園のまん中に鎮座していました!

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がらんとした公園の真ん中に石垣が造られて、そこに祀られています。


ちょっと珍しい光景。
御祭神は水分(みくまり)神。石段を上ってお参りしました。

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遊具のライオンが狛犬の役割みたいです…。

でもじつはもっと守られていました!


地元にいてしか撮れない写真をご覧ください。
これぞ京都通? それではまた。
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和菓子の会 ご報告

422日、井上由理子講師による和菓子の会「芸能と和菓子」を催しました。

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まずは春の踊りの季節によせて、「都をどり」を始め、京都の五花街の踊りと、その折に出される花街ごとの「じょうよ饅頭」の意匠を。

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そして、今日の本題、狂言にでてくるお菓子。
「菓争(このみあらそい)」や「業平餅」「附子(ぶす)」といった狂言やそこに出てくるお菓子を紹介していただき、
その成り立ちやその時代の菓子について学びました。
古典芸能に精通しておられる井上先生ならではのお話です。

芸能とお菓子の歴史には密接な関係があるのですね!
そして当時をしのばせるお菓子を実際に試食。

「醒井餅(さめがいもち)」は米どころ近江の水と米が成せるわざ。
美味しいかき餅です。ぱりぱりという食感、こうばしさが口いっぱいに広がります。

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菊水飴は水あめ。
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醍醐寺三宝院門跡から菊の御紋の暖簾と和歌を賜り、菊水飴と称した由緒があります。

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砂糖を使わない製法。やさしいお味です。
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さて、いよいよこの時期の和菓子をご紹介いただきました。

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この時期は弥生の「菜の花」、
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そして「桜」のさまざま、
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               しだれ桜
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                 花筏
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                花月夜
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                春の水
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                 春水
「若葉」や下の「新芽の香」といった新緑の頃の菓子、
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また、「藤浪」や「胡蝶」、「岩根のつつじ」など春の盛りへと向かう意匠が揃うそうです。

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                                 野花
さて、井上先生のお話の後は、今日の花街のお菓子をふまえて、和菓子プチ体験コーナーを試みました。

じょうよ饅頭をヒントに、ご参加の皆さんに、三種類の食紅と木の芽を使い、それぞれのお菓子を作り上げていただきました。

さて、構想は?
 

皆さん、どんなデザインにしようか迷われるかと思いきや、すぐに取りかかられました。
集中力すごいです。熱心!

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好みの色をつくり、配色を考え、黒文字や爪楊枝などで思い思いに、自由な筆運び。
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銘をつけて完成です。
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前日の「上賀茂神社」講座から着想されたのでしょうか。
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銘もさまざまに─
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蛸…法華経の功徳あり。
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季節を感じて─
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皆さんの思い描く春の景色。好きな草花。

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春のイメージが映されて…。
皆さんの感性、素晴らしいですね!

全部をご紹介できないのが残念です。


この体験コーナー、じつは想像以上に盛り上がりました!


いよいよ最後は堤講師の小咄です。
和菓子は手のひらに載る小さな世界ですが、きょうのお話は「日本の尺度」について。
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一尺、一合、一石、一反、一貫、一尋…の語源を皆さんに伝授。
日本の寸法は身体尺といって人の体が基本になってできているのだそうです。
なるほど! 聞いたら人に話したくなる話。


井上、堤両先生と皆さんの楽しい時間はあっという間に過ぎ、和菓子の会は
無事お開きとなりました。


京都・清遊の会は、皆さまと講座や現地で学び、時には参加し体験する、そんな会でありたいと願っています。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

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