「清盛と芸能」講座ご報告

初夏を思わせる陽気となった55日、京都アスニ―において、とっておき講座「清盛と芸能の世界」を催しました。

今日は、現代の白拍子(井上由理子講師)による芸能、
堤講師による「十二世紀という時代と梁塵秘抄」のお話、
さらに井上講師に、皆さんから、あるいは堤講師から質問をしていただくコーナーの三部構成です。
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いよいよ始まりました。

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衣ずれの音がして─

烏帽子に水干、緋の長袴、白鞘巻の太刀をはいた白拍子の姿。


まずは、琵琶・四絃の演奏「祇王」

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つづいて、白拍子 語り 『平家物語』より「祇王の事」
琵琶の音、白拍子の語る声に引きこまれてゆく世界。

張りつめた空気とあいまっての心地よさ。



白拍子舞「祇王」

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美しく、哀しく、清澄な舞。

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皆さん、どのように感じられたのでしょうか。

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終わって思わずため息がでました。
休憩して一息入れ、
堤講師の講義が始まりました。

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白拍子、傀儡(くぐつ)、歩き巫女などのいた時代、特に12世紀に焦点をあて、白河、鳥羽、後白河法皇の治世が日本の歴史上どのような時代であったのか、また当時の芸術や今様について画像も駆使しお話していただきました。
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                     久能寺経
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                   信貴山縁起絵巻
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      平家納経 見返し絵
さらに、「梁塵秘抄」に収録されている歌─法文歌(ほうもんのうた)や神歌(かみうた)などを紹介いただき、言葉の創り出す世界観について、堤講師独自の解釈からは学ぶことが沢山ありました。


最後には井上講師に再登場いただきました。

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社寺での奉納の様子や、桜の木の下で、あるいは琵琶湖畔の葦の群生しているなかで舞う姿など貴重な画像も見せていただき、熱心な皆さんからはさまざま質問が寄せられました。


自然と神と仏と白拍子─。

室町中期にはもう途絶えてしまったという芸能を、ときには風を神と感じ、ときには自然の生命力を借りるごとく戯れ舞い、求める姿。


先ほど私たちが目にした姿が重なります。

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──戯れせんとや生まれけむ…。


歴史の中で変容してゆく芸能のすがたをたどりつつも、そのうちに秘めて深遠な世界のあることを教えていただいた一日でした。
                       

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  深泥池のかきつばた  
水辺に舞う白拍子を連想して


 







清遊ブログ  大田の沢のカキツバタなど

風薫る五月。
季節は移り、新緑が目に染みる頃となりました。

上賀茂の大田神社に出かけました。

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京都に住んでいてもなかなかタイミングよく花の咲く頃に行けることがないのですが、今年の「かきつばた」はどうでしょうか。


神社の辺りは連休が明けたところで、ようやく静けさを取り戻していました。

お参りするより先に大田の沢をのぞいてみます。

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咲いていました!
見たかったこの景色がありました。

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周囲の新緑に溶け込んだ、紫と緑の見事なこと。
古代より群生しているという野生のかきつばた。

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「神山や大田の沢のかきつばた 
   ふかきたのみは 色にみゆらむ」

俊成の歌に詠まれた風景は目の前にあります。

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この大田の沢も、深泥池も、昔、京都が海だったことを示すもの。
今が見ごろで、5月20日頃まで楽しめるそうです。
さて参道を進み、本殿にお参りします。

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大田神社は上賀茂神社の境外摂社で、上賀茂神社より先に祀られていたこの地域一帯の地主神。
そして上賀茂さんの摂社はすべて拝殿を持っていると先日の講座で教わりました。

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御祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)。
拝殿は割拝殿になっています。


ここで、毎月十日の夜、ちゃんぽん神楽が奉納されます。


参道の両側には白鬚社、百大夫社、鎮守社。
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参道の入り口には福徳社があります。

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大田神社をあとに、賀茂川の東にある府立植物園のなかの「半木(なからぎ)神社」へ。
半木神社へは北山通り側の入口から入ると近いのです。

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半木神社のある「なからぎの森」は周りに池がめぐり、庭園の景をなし、静かで素晴らしいところ。
木々が茂り、下草や土を踏んでの散策は気持ちが休まります。
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風が渡ると水面が揺れて。
いつまでも佇んでいたいお勧めの場所です。
こんなほほえましい光景も。

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半木神社の御祭神は天太玉命(あめのふとだまのみこと)。
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この辺りは錦部(にしごりべ)の里といい、カモ氏によって開墾された地で、古く養蚕製糸の業が営まれたところだそうです。

カモ族と秦族の人々がこの業の守護神として四国阿波国から天太玉命を勧請したと伝えています。
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最後に同じく上賀茂神社の末社「小森神社」をご紹介しましょう。
北山通りと大宮通りの交差点から少し北へ行き、東に折れたところ。



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小森社はなんと緑町公園という児童公園のまん中に鎮座していました!

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がらんとした公園の真ん中に石垣が造られて、そこに祀られています。


ちょっと珍しい光景。
御祭神は水分(みくまり)神。石段を上ってお参りしました。

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遊具のライオンが狛犬の役割みたいです…。

でもじつはもっと守られていました!


地元にいてしか撮れない写真をご覧ください。
これぞ京都通? それではまた。
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