送り火、高野山の風景

昨日は三年ぶりに五山の送り火が全面点火されました。
直前の激しい雷雨で実施が危ぶまれましたが、雨はあがり、西賀茂の舟形も山の稜線の合間からくっきり浮かび上がりました。
この船山の麓に眠っておられる堤先生が亡くなって初めての送り火。送る炎に懐かしい思い出が甦りました。

お盆を前に、和歌山の高野山を訪ねましたのでご覧ください。
高野山は1200年前に弘法大師空海によって開かれた真言密教の道場で、高野山真言宗の総本山。大師信仰の聖地ともいえるところ。

標高およそ900メートルの山上に近づくにつれて急なカーブの連続。上へ上へ、山の景色が変わってゆきます。

「大門」 高野山の西の入り口に建つ正門。撮影時は雨で煙っていました。

地図では、一番左手が大門。右手の「奥の院」まで約4キロほどでしょうか。



奥之院は、弘法大師が入定し、のちに建立された大師の御廟(ごびょう)へ至る聖域。
一の橋から御廟までの約2キロの参道には、平安時代から、およそ20万基を超える墓所や、供養塔、慰霊碑の数々が杉木立の中に立ち並んでいます。

「中の橋」駐車場向かいからの参道

石段を上がり親鸞聖人の供養塔へ。


参拝して降りて参道にもどります。

鬱蒼とした大きな杉の木々の向こうは奥の院へ向かう道。

高野山に古くから伝わる高野槙(こうやまき)は、弘法大師が花の代わりに高野槙の枝葉を供えたといわれており、ここ高野山では、お供花は高野槙を添えるか、高野槙のみを供えるようです。
お寺の方でしょうか、深い墓所のなかを手分けしてお供えして回っておられました。

高野槙

法然上人の供養塔。ここにも高野槙が供えられています。

豊臣家の墓所、信長の供養塔など、知った名前のあまりの多さに圧倒されるように歩くとやがて御供所(ごくしょ)が見えてきます。


御供所は、毎朝6時と10時30分に燈籠堂に届けられるお大師様の食事、生身供(しょうじんく)が調進されるところ。大師入定後より欠かさず行われてきたそうです。
その傍らにたつ嘗試(あじみ)地蔵に一度味見をしていただいてから燈籠堂へ運ばれるのだそうです。
御供所から出てこられ、嘗試地蔵前で。

御廟橋をわたって燈籠堂へ向かわれます。

「御廟橋」
弘法大師の御廟へと向かう参道の最後の橋。御廟橋を渡ると御廟への霊域に入ります。ここからは聖域に足を踏み入れることになるため、橋の前で服装を正し、渡る際には、僧侶にならい礼拝して渡るのが作法になります。


御廟橋は、橋板36枚と橋全体を1として金剛界三十七尊を表し、橋板の裏面には諸仏に対応する梵字が記されているそうです。

燈籠堂とその奥の御廟には前日に参拝を済ませましたが、橋の手前には、前日にはなかった施餓鬼棚(せがきだな)がしつらえられていました。
この日は8月7日でした。京都でもお精霊さんをお迎えする日ですね。

この橋までで、これより先は撮影はできませんので、ここが最後の撮影ポイントです。燈籠堂へ粛々と上っていかれる姿が小さくなりました。

御廟橋のたもとには「水向け地蔵」が玉川を背にして並び、水を手向ける人々の回向が絶えません。

さて、奥の院から壇上伽藍のエリアに移動します。

「壇上伽藍」
弘法大師が構想した曼荼羅世界に基づき諸堂が配置されたといわれます。その中心にそびえるのが「根本大塔」。
内部は、16本の柱に描かれた仏像や壁に描かれた八祖像など、堂内が立体曼荼羅となっています。高野山といえば、この根本大塔の朱色がまず浮かんできますね。内も外も、その迫力に圧倒されました。

金堂(国宝)では、この日より「不断経(ふだんぎょう)」が厳修されていました。


金堂は、開創当時は「講堂」と呼ばれ、一山の総本堂であったそうです。
不断経は、寛治8年(1094)より始まったと伝え、滅罪生善(めつざいしょうぜん)のために僧侶方が1週間、金堂の中を理趣経に節を付けて堂内を廻られるそうです。見学させていただきましたが、非常に変わった声明です。

愛染堂、大会堂(だいえどう)、三昧堂など。一つ一つが時代を経た美しさに満ちています。

古びて静かな佇まいの不動堂(国宝)

奥まったところに建つ西塔。幽邃な雰囲気が漂います。

六角経蔵と山王院。その奥には御社(みやしろ)があります。

御社! 高野山の開創にもかかわる御社の話はさらに長くなりそうです。

下は、「高野山真言宗総本山 金剛峯寺」




今回は金剛峯寺のご紹介はできませんでした。

かねてから高野山へ行きたいと願っていましたが、今回それがかないました。
先だっての堤先生から示していただいた講座がなければ学べなかったことでもあります。導いてくださったことに感謝し、いつかの講座にお伝えできればと思います。長々ご覧いただき有難うございました。

 

 

 

 

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