祇園祭に(Ⅱ)

7月16日 宵山
八坂神社にお参りしました。
真夏のような陽ざしに楼門の朱色が照り映え、まぶしいばかりです。

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舞殿には、前日の宵宮祭でご神霊が遷された御祭神の三基のお神輿が泰安されています。
お神輿は、素戔嗚尊を祀る中御座、櫛稲田姫命を奉じる東御座、そして八柱御子神を奉じる西御座。
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西御座(八柱御子神)
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中御座(素戔嗚尊)
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東御座(櫛稲田姫命)  前には子供神輿

明日の神幸祭で、この三基のお神輿はそれぞれ神輿会の人たちによって担がれ、氏子区域のコースを巡り、四条新京極のお旅所へ向かわれ、24日の還幸祭まで留まられます。


そして明日は待ちに待った山鉾巡行の日でもあります。
祇園祭がいよいよクライマックスを迎えようとしています。


今日16日は表千家・裏千家が1年ごとに交代でお献茶を奉仕される祇園・八坂神社御献茶式が執り行われます。
今年は裏千家のご担当で、御家元のお献茶に引き続いて、境内や神社周辺では拝服席、副席、協賛席などのお茶席が設けられます。
界隈はお茶席を行きかう着物姿の方で華やいでいました。


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協賛席の一つ、境内の常盤新殿で催されている菓匠会のお席にうかがってきました。
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ここでは創作菓子の展示がおこなわれ、香煎とお菓子が出されます。

菓匠会の今年のテーマは「希望」。東日本大震災という大きな災害から復興の願いを込めてとのこと。


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「ひかり」 鶴屋吉信

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先斗町駿河屋.JPG

ほんとうに和菓子なのかと思うほど。匠の技ですね!
しばらく立ち止まらずにはいられません。
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「円」 京華堂利保
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「人の音」 末富
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「サマータイム・ブルース」 三條若狭屋
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「仲良き事は善き事なり」 長久堂

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「かけ橋」 嘯月
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「やすらぎ」 総本家駿河屋
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「萌」 塩芳軒
和菓子というと重厚な色合いをイメージしますが、明るくて爽やかで、涼しさの演出も素敵!
塗りの器など、うまく写真が撮れないものもあり、一部しかご紹介できないのが残念です。


このお席では老舗の菓子店のご主人方が袴姿でお茶の接待をされていて、ちょっと緊張してしまいます。


…先斗町駿河屋の水ようかん「竹露」や鍵善良房の「くず切り」など、
お店の名前から時候のお菓子が浮かんで食べたくなったりもして…


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当日出されるお菓子は六種類。
運ばれてきたお菓子には、「瀧つ瀬」という銘がつけられていました。
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餡の上に瀧に見立てて細く切った寒天がのっているのですが、
なんとその瀧の下には色濃くなった青楓が一枚。
瀧から透けて見えていたのはこの青楓でした。
繊細な意匠に感激しつつ、上品な甘味とお茶をおいしくいただきました。


外へ出るともう「石見神楽」を待つたくさんのギャラリーが集まっていました。
石見神楽は来年のお愉しみに。
毎年たくさんの積み残しが出ますが、
それが尽きせぬ祇園祭の魅力なのかもしれません。

 


 

祇園祭講座を終えて

京都・清遊の会では堤講師による世界遺産講座「祇園祭 山鉾巡行」の講座が先月25日に東京で、3日に京都で行われました。


同じテーマでも堤講師の講座は講座ごとに内容が違ってきます。
25日も3日も、3時間以上をかけ、祇園祭を巡ってさまざまな内容が縦横無尽に駆け巡りました。
東京での話は祗園社と稲荷社、そして稲荷社と藤森社の関係をユニークな「土地返しや」の神事にのせて、
京都では祗園信仰、とくにスサノオ信仰の話が記紀神話の秘密にのせて、それぞれ熱く語られました。
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                                             東京講座(於 きゅりあん)
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京都講座(於 京都北文化会館)

講座が始まると間もなく祇園祭というより、祗園祭そのものの根幹にかかわる歴史を話し始める堤講師。
前半は、二大御霊会といわれた祇園会と稲荷祭を対比させてのお話から始まりました。
稲荷社と東寺、祗園社と延暦寺の関係はこの講座のポイントでした。
そして八坂神社の成り立ちから、応仁・文明の乱をはさんで祇園祭が復興する過程。


後半は現在の祇園祭について。
神事における久世駒形稚児、行事における鉾稚児の話からはじまり、山鉾の見方、楽しみ方が実際の祭の進行に沿って面白く話されました。


堤講師はいつも言われます。
一つの社寺や行事などテーマそのものについてだけでなく、そのバックグラウンドを知ることで、さまざまな歴史上の関わりが見えてくると。
それらはいつか互いに結びついて歴史の太くて広い裾野に気づく。
そしてさらに学び、知識を深めてゆくことでその上に立つ高い塔が見えてくる。その高みから見ると全体の姿がわかる。
京都の歴史や文化を理解するとはそういうことなのだと。
狭い裾野の上に作られた塔は高そうに見えても脆い。高いところから見はらすために、広い裾野をもつことが大事だと。


そして現地に行って自分の目で見ることの大切さ。
覚えたことは忘れるかもしれないけれど、感じたことは絶対に残ると。


京都・清遊の会の講座はしばらくお休みさせていただきますが、
夏以降には堤講師がつれづれにいろいろなことを皆様に話しかけてくれるようです。
カテゴリーにちょっと変わった名前の項目がでてきたら読んでみてください。
堤講師のプレッシャーになるといけませんからあまり期待しないで(?)ゆるゆる待つことに致しましょう。
祇園祭においでの折にはくれぐれも暑さに気をつけられますように。そして存分にお楽しみください!