貴船から鞍馬へ 水の神、火の神

祇園祭が終わると、いよいよ夏真っ盛り。
連日、猛暑がつづきますね。
皆さま、いかがおすごしでしょうか。

貴船は、京都では夏に人気のエリア。
町中から17キロほど北、貴船口が分岐点で、ここから貴船川に沿ってさかのぼれば貴船神社に、鞍馬川をたどれば鞍馬寺への道。

この時季、貴船川沿いの道は貴船神社への参拝や川床を求めて来る人、車が行き交い、朝早くから賑わっています。


渋滞気味の貴船をぬけて鞍馬方面へ。
寅年も半分以上を過ぎてしまいましたが、7月になりようやく鞍馬寺にお参りしました。


鞍馬寺
鑑真和上の高弟・鑑禎(がんてい)上人が宝亀元年(770)草庵を結び、毘沙門天(びしゃもんてん)を安置したのが始まりと伝わり、現在は鞍馬弘教の総本山。毘沙門天王、千手観世音菩薩、護法魔王尊が三身一体の尊天として祀られます。
平安京の北方鎮護としても栄えたお寺。北の守護神「毘沙門天」が祀られるこの地から、都に向けてパワーが送られてきたのでしょうか。


金剛床(こんごうしょう)に立ち空を仰いで(笑)、本殿にお参りします。
狛犬ならぬ「阿吽」の虎は、毘沙門天のお使いの神獣。毘沙門天が、寅の月、寅の日、寅の刻に顕れたとされている所以です。

12年前の寅年、寅の月(1月)、寅の日に、堤先生が現地案内をされ、鞍馬にお連れ下さったのでした。京都・清遊の会の名はまだついていませんでしたが、思えば、その時が清遊の会の始まりともいえます。懐かしいですね。

水の神 閼伽井(あかい)護法善神社
本殿東側にある閼伽井護法善神社は、水の神が祀られています。
千年の昔、峯延(ぶえん)上人を襲った二匹の大蛇のうち、雄蛇は倒され、現在6月20日に行われる「竹伐り会式」の由来となり、雌蛇は本尊に捧げるお香水(こうずい)を永遠に絶やさぬと誓い、ここに祀られたそうです。

天井には玉眼入りのみごとな龍。

奥の院を遥拝し、霊宝殿へ。
国宝の毘沙門天立像や兜跋(とばつ)毘沙門天。鞍馬の毘沙門天様はいつ来ても圧巻。偉大なるパワーを感じます。

中門を経て、由岐(ゆき)神社へ。

岩間から清冽な流れを発見  !(^^)!




水音が山に響いて、涼味満点です (^-^)

「枕草子」に「くらまの九十九折といふ道」と綴られた九十九折参道。自然の冷気に癒されます。

下は義経公供養塔(東光坊跡)。牛若丸は、由岐神社の上手にあった東光坊で、昼間は仏道修行、夜は僧正ガ谷で天狗に兵法を授けられたという伝説があります。

由岐神社

通称 靫明神(ゆきみょうじん)。大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)を「由岐大明神」と総称し、主祭神に、相殿に八所大明神が祀られます。
元は宮中で祀られていましたが、大地震や天慶の乱などが起こり、天変地異を鎮めるため、時の朱雀天皇が天慶3年(940)、鞍馬山の地に遷宮をして鞍馬寺の鎮守社とし、都の北方鎮護を仰せつけられたと伝わります。
10月22日に行われる「鞍馬の火祭(ひまつり)」は、その遷宮のおりに、里人がかがり火を持ってご神霊をお迎えしたことに由来します。


          由岐神社HPより

そこで、今回新たに知ったのが、本殿向かって左手奥にあります三宝荒神社。


ご祭神の三宝荒神大神は火の神様。古くからこの地にお祀りされてきたとあります。
三宝荒神尊といえば先日の泉涌寺散策で、来迎院の荒神堂にお祀りされておりました。弘法大師が初めて勧請したという荒神様。怖ーいお顔を思い出します。竈にも祀られる荒神様に、人々は火への畏れと感謝を捧げてきました。

鞍馬には火の神が、そして川の向こうの貴船には水の神が祀られていて不思議なこと。興味は尽きません。

ご神木の大杉が祀られる大杉社を経て、由岐神社の拝殿を潜ります。珍しい割拝殿という形式。




帰りは「雍州路」にて、雲珠(うず)そばをいただきました (^-^)

鞍馬街道をさらに北へ。

花脊峠ちかくに湧き水があります。


美味しく超冷たい水がほとばしるように出ていました。
汲んで帰ります !(^^)!

もう一つ、水つながりで。
暑い中を帰ってきたなら、やっぱりこれおススメです。

京の夏の定番。亀廣永さんの「したたり」は黒糖の甘みがあとをひかない爽やかさ。
ご存じ菊水鉾ゆかりの和菓子ですが、祇園祭の余韻を感じながらいただいて、猛暑を乗り切りたいものです。

 

 

 

 

祇園祭 鷹山の巡行に

待ちに待った三年ぶりの祇園祭。
前祭後祭ともに、晴れの良き日となりました。
そして、今年は後祭の鷹山(たかやま)が196年ぶりに復興を果たし、おめでたい気分はいっそう盛り上がりました。

24日午後1時をすぎて、鷹山が巡行を終え、新町通を帰ってこられました。
清々しい白木での巡行。この姿は今年かぎり。来年から塗りが施されていきます。堂々としてかっこいいですね! 曳き手さんのはっぴも青空に映えています。



わあっと歓声があがり、拍手の中ですが、まだまだ緊張の面持ちで通られます。


思わずついて行ってしまう人々。気持ちわかります(笑)

さてもうひとつ、大仕事。新町三条で最後の辻回し。

お囃子も替わります。今回の復興にあたり、30曲以上を作り、稽古を積まれたと伺いました。
後ろ姿は雄々しい鷹の見送り。これは、いつか復興したときのためにと、染色家の皆川月華氏が昭和61年(1986)に寄進されたもの。祇園祭の山鉾の胴掛などを多く制作した氏は翌年亡くなっています。多くの人の思いを乗せた復興の山。

こちらの辻はかなり狭いです…。

回りました !(^^)!   拍手と大歓声!


無事、町内に帰ってこられました!


囃子方の皆さん。やっと安堵でしょうか、笑顔笑顔。


保存会理事長はじめ、ご挨拶の方々。
囃子方、車方、それぞれの役割を全うされ、晴れ晴れとしたいいお顔です。

三条通に鷹山が建ち、いままでの後祭の風景が一変、賑やかな風景になりました。
堤先生が待ち望まれていた鷹山の復興。先生は毎年、鷹山の会所でご神体を見学されていました。
祇園祭は、清遊の会の皆さまには、堤先生の熱のこもった講義や、楽しかった山鉾めぐりの思い出がたくさんおありのことでしょう。先生には祇園祭でたくさんのことを教えていただきましたね。
今年は、空からこの祭を、たのもしく眺めておられることと思います。