祇園祭宵山巡り

16日 宵山飾り見学
午前の部 室町通周辺の山鉾見学

いよいよ祇園祭も佳境に入り、巡行を明日に控えた16日、山鉾の宵山飾りを見学する現地案内が行われました。
堤講師が京都商工会議所主催の京都検定講習を東京で行われた際、この現地案内の告知をされた関係で、関東地方からたくさんの方々がご参加になり、午前と午後で延べ90名近い参加者となり大変な見学会となりました。

 最初に訪ねる予定だった鈴鹿山ではちょうど八坂神社の神官によるお祓いが行われており、美人で有名な瀬織津姫のお前立ちを見ることができませんでしたので、画像だけアップしておきます。
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鈴鹿山の町会所に飾られるご神体・瀬織津姫のお前立
午前中は室町通周辺の山鉾を見学しました。後祭の山鉾が中心です。それぞれにとても素晴らしいご神体人形や懸装品、飾り金具ばかりで、説明を受けてもとても覚えきれるものではありません。ですが明快に特徴を聞けて見どころがわかり、助かりました。
10 浄妙山では頭の上に乗る人形の秘密や宇治橋の矢の話、等伯の原画など興味深々です。.JPG
浄妙山では頭の上に乗る人形の秘密や宇治橋の矢の話、
長谷川等伯の原画の話など興味深々です。

11 鯉山は何といっても迫力のご神体と懸装品が魅力。.JPG
鯉山は何といっても迫力のご神体と懸装品が魅力。

12 つなぎ合わせると一枚の絵になる鯉山自慢の名品です。.jpeg
つなぎ合わせると一枚の絵になる鯉山自慢の名品です。
13 霰天神山では新旧の懸装品比べやこの山だけの特徴を学びました。.JPG

霰天神山では新旧の懸装品比べやこの山だけの特徴を学びました。

午前の部、最後は昭和に復興した名鉾「菊水鉾」に上がりました。豪華な鉾の上は思ったよりも高く、室町通という古い歴史を持つ通りに位置する山鉾の姿は、周りの風景こそ変わりましたが、往時の山鉾巡行のありようを偲ばせるに充分でした。
14 登楼した菊水鉾の豪華な屋根周り。昭和の職j人たちの底力が迫ります。.JPG
登楼した菊水鉾の豪華な屋根周り。昭和の職人たちの底力が迫ります。

午後の部 新町通周辺の山鉾見学

午後の部は二時、月鉾から始まりました。豪華な鉾のなかでも特に素晴らしい装飾をもつ月鉾は「動く美術館」の異名を持ち、一番高く、一番重い鉾です。
鉾上から眺める四条通の様子は祇園祭ならではの独特の雰囲気で、とても印象深いものがありました。名残惜しい鉾を後に、郭巨山
から歩き始めます。

15 郭巨山 巡行では見えにくい金の釜を間近に。.JPG
郭巨山 巡行では見えにくい金の釜を間近に。

山鉾の会所飾りだけではなく、膏薬の辻子など通り名の説明や町名の話、両側町の解説などが随所に織り込まれ、本当に多方面に亘る京都のなりたちを知ることができます。

16 太子山 太子のゆかりを伝える秦家住宅。聖徳太子と秦河勝、1400年以上前の歴史がこの町には現役で生きています。.JPG
太子山 太子のゆかりを伝える秦家住宅。聖徳太子と秦河勝、
1400年以上前の歴史がこの町には現役で生きています。

17 太子山は一番西にある山。智恵の杉に腰掛け、驚きの話をうかがいました。.JPG
太子山は一番西にある山。
智恵の杉に腰掛け、驚きの話をうかがいました。

そのほか、油天神山、芦刈山、木賊山などあまり人が訪れない地味だと思われがちな山を訪ね、その素晴らしさを堪能しました。見どころ、聞きどころの解説があるとこんなに分かりやすいものだと感動の連続です。
途中、驚くほど精巧に作られた長刀鉾の模型と出会ったり、予期してはいましたがしばらく豪雨に動けなかったりと記憶に残る見学となりましたが、雨のため太鼓を合図に木賊山が懸装品を取り外す様子を目の前で見物できたり、思わぬ余慶もありました。
18 船鉾では四体のご神体人形をじっくり拝見しました。.JPG
船鉾では四体のご神体人形をじっくり拝見しました。

19 伯牙山は知音の主だとばかり思っていたら、何と戴安道とは!.JPG
伯牙山は知音の主だとばかり思っていたら、何と戴安道とは!


今回の現地案内は大変多くのご参加を頂き本当に有り難いことでしたが、皆様にご満足頂けたか、不備はなかったか、とても心配でした。講師も同様で、説明が不十分でなかったか、ちゃんと皆様に声が届いていたか、最後までとても気にしておられました。
ですが、助っ人にきてくれた中野さんの奮闘もあり、なんとか最後までやり通すことができました。皆様本当に有り難うございました。

和菓子の会

7月11日(日) 和菓子をたのしむ会   ー京の夏によせてー

本格的な夏の到来にさきがけて、涼を呼ぶ和菓子の会を催しました。

会場は京都御所の近くにお店を構える、上生菓子のお店、甘楽 花子(かんらく はなご)さん。御主人の内藤豪剛(ひでたか)さんに生菓子を目の前でつくっていただき、賞味する趣向です。

お越しになったお客さまから順に、粟羊羹(あわようかん)と冷たいお抹茶が出されました。粟羊羹は寒天にもち米の一種、桜みじんこというものを加えてつくるお菓子。ひんやり、そしてもっちりした食感が口いっぱいに広がります。
 
 
① 粟羊羹.jpeg

みなさんが揃われたところで、まずはご主人の葛まんじゅうづくりから始まりました。
鍋を火にかけ、葛を溶かして練ります。みるみるうちにとろりとした葛の生地ができます。
次はまるめておいた餡玉をあざやかな手技で葛で包んでゆきます。
ひとつを包むのがあっというまです。
 

②葛まんじゅう.jpeg

「どなたかやってみられませんか?」というご主人の呼びかけで何人かの方がチャレンジされました。なかなか楽しそう。

このほか、ご主人からは京菓子の老舗に育ち、身につけられた和菓子職人としての習い、夏の生菓子や葛まんじゅうの美味しいいただき方についてのお話しがありました。

葛まんじゅうが蒸しあがるのを待つ間、和菓子研究家の井上由理子さんにお話をお聴きします。この日は涼やかな絽の着物をお召しになっていました。
 
③井上講師のお話.jpeg

井上先生のお話のテーマは「涼」。
『枕草子』の一節をひいてのお話から始まりました。
「あてなるもの……削り氷にあまづら入れて……」
銀色の器にかき氷が運ばれてきました!
井上先生いわく「これがその再現に近いものです」
あまづらは、甘味料の役割。遠い昔、清少納言も好まれたのでした。


お話は、宮中の行事の六月朔日の氷室の節会(ひむろのせちえ)、晦日の夏越の祓(なごしのはらえ)へと移ります。
平安時代、氷室に貯蔵しておいた氷は大切に大切に、そして急いで運ばれ、朝廷に届けられました。


写真は「御所氷室」という氷室の氷をかたどった干菓子。邪気を払う意がこめられているのでしょうか、大納言小豆が入れ込んであります。
そういえば京都では、六月晦日はういろうに小豆をのせた「水無月」をいただきます。

④御所氷室.jpeg   

そして夏越の祓は無事に夏が過ごせますようにと厄除けを願う日。
京都の神社では茅の輪くぐりの行事が伝わります。
京都・清遊の会でも30日には北野天満宮に詣り、茅の輪くぐりをしたばかりです。

⑤北野天満宮 茅の輪くぐり 午後四時から始まりすべて終わるのは午後六時半頃でした。、 (2).jpeg

こんどは水や氷をかたどった意匠のお干菓子がガラスの器に盛って出されました。
井上先生ご持参のお菓子です。
見ているだけで涼しい風が吹き抜けるようです。

⑥水の意匠の干菓子.jpeg

観世水、光琳水、波、などなど。お話は菊水の井、染井、醒ヶ井など、京の名水にもおよびました。
ほかに鷺と葦や夕顔などデフォルメした夏の干菓子も見せていただきました。

⑦夏の干菓子.jpeg

さて、待望の葛まんじゅうが蒸し上がり、常温でそっと冷まされて出来上がってきました。

⑧蒸し上がった葛まんじゅう.jpeg

ギヤマンの器に盛られて翡翠のような色合い。

⑨.jpeg

いちばんおいしい時をのがさずいただきます。
皆さん至福のひととき。こんどは熱いお煎茶かお抹茶で。


内藤さんから、中に入れる餡の色などによって菓銘も、「水牡丹」「夏木立」「藻の花」「玉取」……とさまざまになります、と教えていただきました。
話はなかなか尽きませんが、内藤さんと井上先生から心尽くしのおもてなしをいただいたような和菓子の会は、和やかな雰囲気のうちに終了いたしました。
ご参加の方からは早くも次回開催のリクエストをいただきました。


梅雨の蒸し暑い時期、しかも雨の日にもかかわらずご参加くださいました皆さま、ありがとうございました。
京都・清遊の会では、季節ごとに和菓子の会を開催しています。次回をどうぞお楽しみに。
ご参加をお待ちしています。