祇園祭現地案内 山鉾巡行観覧 ご報告

暑中お見舞い申し上げます。

いよいよ夏本番、皆さまにはいかがおすごしでしょうか。

京都・清遊の会では「祇園祭宵山現地案内」「山鉾巡行観覧」を行いました。その模様をご紹介いたします。

宵山の16日午前には、堤勇二講師による「祇園祭の楽しみ方」の講座がJEUGIAカルチャー京都で、午後からは同講師による現地案内が行われました。
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堤講師は、たった二時間で千年の歴史を持つ祇園祭を語ることはできません、とおっしゃりながらも、八坂神社の御祭神の話、祇園祭の神事と山鉾町の行事、画像を使っての山鉾の紹介などなど、わかりやすく面白く語られました。
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いつもながら堤講師の深い知識に脱帽です。特に神功皇后や安曇磯良など船鉾のご神体にまつわる話はもっと聞きたかった…。

午後は山鉾めぐり。長刀鉾の向かい側から出発です。
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函谷鉾、菊水鉾と回りました。

菊水鉾─カンカン照りの青空に鉾頭や天王人形が映えます。

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上から小屋根、そして右手に柄杓・左手に盃を持つ天王人形─彭祖(ほうそ)か菊慈童か? 
その下は菊の紋付幕を垂らし菊の枝を立てた天王台。


池坊会館では大船鉾の画が掛かる広間の前で、次に訪ねる月鉾の説明を聴きました。


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月鉾の彫刻、絵画、懸想品、どれも素晴らしかったです!

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放下鉾へ。放下鉾は檜扇形の榊が特徴です。

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小結棚町の町会所に上がって見学しました。
稚児人形の三光丸(さんこうまる)君は気品のあるお顔をしていらっしゃいます。

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「三光丸」は久邇宮多嘉王の命名になり、京都を代表する人形店、丸平大木の名作。

巡行の際には三人の人形師が付き、稚児舞いを演じます。


さて、山鉾町の中にあって祇園祭の山や鉾を出さない町…菅大臣町にやってきました。
ここには菅大臣社があります。

菅原道真の父、是善(これよし)の住まいであったところと伝わります。

なるほど!  天神様への信仰があるところですもんね。菅大臣社を通り抜けて行きます。
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岩戸山に来ました。岩戸山は「国生み」と「天岩戸伝説」の二つを主題にしています。

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ご神体のうちの天照大神はなんと男性像なんですね!  なぜでしょうね?

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鉾の形に似ていますが、岩戸山は曳山で、北、南の観音山に先がけて最初に曳山としたものです。


新町通りでは一番南に位置し、この岩戸山の上からは北に向かって並ぶ山鉾を眺めることができます。

白楽天山を回り、そして最後の鶏鉾に着くころにはもう夕方となり、宵山も凄い人の波となっていました。

 


猛暑のなかの山鉾めぐりでしたが、大勢の方がご参加下さり、無事に終えることができました。


堤先生には復帰後初めての現地案内をしていただき、本当にお疲れ様でした。


17日は、JEUGIAカルチャー京都8階から山鉾巡行を観覧しました。
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中川のご案内でしたが、皆さまは前日の座学、現地案内に参加された方も多く、それを踏まえて熱心に見学されていました。
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いつもはここはヨガやダンスなどに使われているお部屋ですが、ベランダからは四条通りの寺町から河原町までを眺めることができます。
高いところのお好きな方ばかりが見学かと思いきや、くだんの先生もお越しになりました。
しかしベランダからでなく、室内から望遠で撮影されていましたよ。(笑)


鉾頭や天王人形が目の前を通るのですから、驚きです。

写真は長刀鉾の辻回しの様子です。壮観な眺めです!

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蟷螂山のかまきりが羽を広げる様子もまた一興。

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約三時間、山鉾巡行を堪能させていただきました。


ことしは暑さも一番でしたが、青空のもと山鉾のお飾りが映え、宵山や巡行を見学するには素晴らしい日和でした。

ご参加くださたった皆様、どうもありがとうございました。
以上簡単ですが、祇園祭案内のご報告とさせていただきます。


「清盛と芸能」講座ご報告

初夏を思わせる陽気となった55日、京都アスニ―において、とっておき講座「清盛と芸能の世界」を催しました。

今日は、現代の白拍子(井上由理子講師)による芸能、
堤講師による「十二世紀という時代と梁塵秘抄」のお話、
さらに井上講師に、皆さんから、あるいは堤講師から質問をしていただくコーナーの三部構成です。
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いよいよ始まりました。

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衣ずれの音がして─

烏帽子に水干、緋の長袴、白鞘巻の太刀をはいた白拍子の姿。


まずは、琵琶・四絃の演奏「祇王」

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つづいて、白拍子 語り 『平家物語』より「祇王の事」
琵琶の音、白拍子の語る声に引きこまれてゆく世界。

張りつめた空気とあいまっての心地よさ。



白拍子舞「祇王」

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美しく、哀しく、清澄な舞。

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皆さん、どのように感じられたのでしょうか。

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終わって思わずため息がでました。
休憩して一息入れ、
堤講師の講義が始まりました。

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白拍子、傀儡(くぐつ)、歩き巫女などのいた時代、特に12世紀に焦点をあて、白河、鳥羽、後白河法皇の治世が日本の歴史上どのような時代であったのか、また当時の芸術や今様について画像も駆使しお話していただきました。
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                     久能寺経
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                   信貴山縁起絵巻
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      平家納経 見返し絵
さらに、「梁塵秘抄」に収録されている歌─法文歌(ほうもんのうた)や神歌(かみうた)などを紹介いただき、言葉の創り出す世界観について、堤講師独自の解釈からは学ぶことが沢山ありました。


最後には井上講師に再登場いただきました。

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社寺での奉納の様子や、桜の木の下で、あるいは琵琶湖畔の葦の群生しているなかで舞う姿など貴重な画像も見せていただき、熱心な皆さんからはさまざま質問が寄せられました。


自然と神と仏と白拍子─。

室町中期にはもう途絶えてしまったという芸能を、ときには風を神と感じ、ときには自然の生命力を借りるごとく戯れ舞い、求める姿。


先ほど私たちが目にした姿が重なります。

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──戯れせんとや生まれけむ…。


歴史の中で変容してゆく芸能のすがたをたどりつつも、そのうちに秘めて深遠な世界のあることを教えていただいた一日でした。
                       

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  深泥池のかきつばた  
水辺に舞う白拍子を連想して