祇園祭講座を終えて

京都・清遊の会では堤講師による世界遺産講座「祇園祭 山鉾巡行」の講座が先月25日に東京で、3日に京都で行われました。


同じテーマでも堤講師の講座は講座ごとに内容が違ってきます。
25日も3日も、3時間以上をかけ、祇園祭を巡ってさまざまな内容が縦横無尽に駆け巡りました。
東京での話は祗園社と稲荷社、そして稲荷社と藤森社の関係をユニークな「土地返しや」の神事にのせて、
京都では祗園信仰、とくにスサノオ信仰の話が記紀神話の秘密にのせて、それぞれ熱く語られました。
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                                             東京講座(於 きゅりあん)
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京都講座(於 京都北文化会館)

講座が始まると間もなく祇園祭というより、祗園祭そのものの根幹にかかわる歴史を話し始める堤講師。
前半は、二大御霊会といわれた祇園会と稲荷祭を対比させてのお話から始まりました。
稲荷社と東寺、祗園社と延暦寺の関係はこの講座のポイントでした。
そして八坂神社の成り立ちから、応仁・文明の乱をはさんで祇園祭が復興する過程。


後半は現在の祇園祭について。
神事における久世駒形稚児、行事における鉾稚児の話からはじまり、山鉾の見方、楽しみ方が実際の祭の進行に沿って面白く話されました。


堤講師はいつも言われます。
一つの社寺や行事などテーマそのものについてだけでなく、そのバックグラウンドを知ることで、さまざまな歴史上の関わりが見えてくると。
それらはいつか互いに結びついて歴史の太くて広い裾野に気づく。
そしてさらに学び、知識を深めてゆくことでその上に立つ高い塔が見えてくる。その高みから見ると全体の姿がわかる。
京都の歴史や文化を理解するとはそういうことなのだと。
狭い裾野の上に作られた塔は高そうに見えても脆い。高いところから見はらすために、広い裾野をもつことが大事だと。


そして現地に行って自分の目で見ることの大切さ。
覚えたことは忘れるかもしれないけれど、感じたことは絶対に残ると。


京都・清遊の会の講座はしばらくお休みさせていただきますが、
夏以降には堤講師がつれづれにいろいろなことを皆様に話しかけてくれるようです。
カテゴリーにちょっと変わった名前の項目がでてきたら読んでみてください。
堤講師のプレッシャーになるといけませんからあまり期待しないで(?)ゆるゆる待つことに致しましょう。
祇園祭においでの折にはくれぐれも暑さに気をつけられますように。そして存分にお楽しみください!

 

祇園祭に

梅雨明けとともに連日猛暑が続いています。
例年、祇園祭山鉾巡行の頃が梅雨明けですが、ことし近畿地方は七夕の翌日と早かったですね。
晴れの日が続けば祇園祭の気分もがぜん盛り上がります。


10日に鉾建てが始まると、もう気もそぞろ。
鉾建てを見に、ではなく、朝から京都文化博物館近くにある
亀廣永さんに出かけました。
銘菓「したたり」を買いに…。


「したたり」は菊水鉾の復興にちなんでつくられた菓子として、
また菊水鉾茶会に出される菓子として知られますが、
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なにより京都の蒸し暑さを吹き飛ばしてくれるようなのど越しの良さが魅力です。
黒砂糖風味の琥珀羹は冷やしていただくのにちょうどいい甘さ。
暑い日盛りに山鉾を見て回り、帰っていただく「したたり」の美味しいこと!
日持ちがして常温で保存できるのも助かります。


菊水鉾は、菊の露のしたたりを飲んで七百年の長寿を保ったという中国の故事をもとに作られた、能楽「枕慈童(菊慈童)」に取材した鉾です。
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菊水鉾茶会では、巡行当日、鉾の上に乗る菊慈童人形の
稚児飾りを見ることができます。

近年まで菊水鉾の町内には金剛能楽堂がありましたが、その庭内に京都の名水の一つ「菊の井」という井戸があり、
この菊の井にちなんで「したたり」と名付けられたそうです。
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菊水の井跡  室町時代、茶人で千利休の師匠・武野紹鴎
はこの井を愛し、庵を結び、大黒庵と称しました。

この日も亀廣永さんにはお客さんがひっきりなしで、御主人も奥様も目の回るような忙しさにもかかわらずにこやかに応対されていました。


そしてもう一軒、堺町三条を上がって亀屋則克さんで
涼菓「浜土産(はまづと)」を。

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大正時代、初代が真夏でも日持ちするお菓子をと、
蛤に寒天、砂糖などを煮詰めて流し、浜納豆を一粒入れて作られたのだそうです。
桧葉を添えて籠に入っていると本当に磯の香りがしてくるような不思議な気がします。
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いただいた人がお鍋にいれて湯がいたという話は本当でしょうか?
まさか!さし上げるのに、これはお菓子です、と言わないそんな
いけずな(?)京都人はいませんよね。
いたりして(汗)。

いただくと、納豆の味噌の風味が広がります。
この涼味あふれるお菓子は、16日宵山の祇園祭献茶会のお茶席に出されています。


則克さんといえば、この時期には八坂神社の社紋の焼印が押された「葛焼」も有名ですね。
この日も祇園祭にちなんだ生菓子が幾種類も並べられていました。


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腰かけて生菓子を選んだり、待っている間に飾られているたくさんの干菓子の木型を眺めたり。
その日の気分に余裕を持たせてくれる貴重なひととき。
せわしい外の往来がうそのよう。ほっこりします。


いつのまにか陽が高くなって、日陰をもとめながらの帰り道、むくげの花を見つけました!
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と同時になつかしい記憶がよみがえってきました。


何年も前の祭釜の席。
床に生けられていたのは「祇園守(ぎおんまもり)」の花。

むくげの一種で、祇園祭の頃に咲くのでそう名付けられたとか。
白い清楚な一日花です。


なつかしい思い出とともに、今年もまた祇園祭がめぐってきたと実感した日でした。