第2回京都おもしろ講座

 
第2回 京都おもしろ講座と社寺拝観 

 8月8日、第2回目のおもしろ講座のテーマは「言霊の世界」でした。
 なにやら夏に涼しそうなテーマ、と思っていたらとんでもない! 話の中身は驚きの連続! 和歌の世界に表れた言霊の例や、とくに面白かった「夕占問」の話。食事の話や野球の話、蓮舫大臣の仕分け秘話まで飛び出し、まったく日常の話題の中に登場する言霊の数々にあっと言う間の二時間。まだまだ聞いていたかったのに残念な時間切れとなりました。本当に堤講師の話は何を聞いても目からウロコの連続です。

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                             おもしろ講座風景

社寺拝観 大報恩寺と石像寺
 講座に続き、午後はお盆にちなんで大報恩寺の六道参りを兼ね、素晴らしい建築と仏像の鑑賞会が行われました。
 話は千本釈迦堂の異名の由来や国宝建造物の特長や見どころ、押さえどころの話から始まりました。

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                純和様の簡素で優美な大報恩寺壁面
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全国から寄せられたおかめ像の前で阿亀、於多福、天鈿女と
話は自在に展開します。

 おかめさんの意外な話を伺って、一同は本堂へ。

 昔は六観音との結縁を行っていましたが、現在はご本尊釈迦如来像との結縁です。
 国宝本堂や厨子、天蓋などの素晴らしい説明を聞いて一同堪能。いつもながら堤講師の話は単なる建築や歴史の話に終わりません。

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                    本堂 六道詣り ご本尊と結縁
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   生々しい応仁の乱の傷跡が残る外陣の柱

 そして圧巻の仏像群が安置されている霊宝館へ。
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             鬼瓦ならぬ阿亀瓦に守られた霊宝館

 北野天満宮の神宮寺としての歴史や事物の説明を受け、待望の六観音像と対面です。女人の願に応えて造られた、この素晴らしい仏と向き合う創建当時のままの釈迦十大弟子たち。そして菅原道真自刻と伝える千手観音。仏像とは見るものではなく、向き合うもの、感じるもの。
 造仏、仏を造るとはなんなのか。鳥肌がたつような説明です。本当に「他では聞けない、とっておきの京都案内」の看板に偽りはありません。一人でも多くの方にこの説明を聞いて頂きたいと、心から思いました。

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     肥後別当定慶作 六観音のうち如意輪観音像
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            伝菅原道真作 千手観音像
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       快慶作 十大弟子のうち目けん連像

 創建時からまったく変わらぬ境内には多くの寄進物や供養塔があります。愛嬌ある布袋さんの像には思わず顔がほころびました。
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                境内片隅に立つ温顔の布袋さん

 名残惜しい釈迦堂を後にした一行は、五辻通を東に、石像寺へと向かいました。途中、食べ損ねたカレーの話をされる堤講師。本当に残念そうでした(笑)
 石像寺の前で、驚きのご本尊をもつ別のお寺の話を聞いたあと、いよいよ境内へ。冷たいお茶の接待に一同、感謝、感謝です。

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                               石像寺 本堂
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                      石像寺 石造阿弥陀三尊像

 庶民信仰に支えられ、それに歴代のご住職が応えて何百年という時を超えてきたお寺ならでは、観光寺院と違う香煙に包まれた境内に心癒されます。京洛屈指の石造阿弥陀三尊像を拝し、今もこんこんと湧き続ける弘法水を見学して今回の見学会は終了です。
 来月のおもしろ講座は「暦の話」と「京都国宝秘話」、どんな話になるのかいまからワクワクドキドキです。平日ですが、どうぞ皆様お誘いあわせのうえ、ご参加下さい。

祇園祭 花傘巡行・還幸祭見学

24日 花傘巡行・還幸祭見学
祇園祭本来の神事であるお神輿還幸の日、三部にわけて現地案内や座学の講座を行いました。この日も関東方面からの多数のご参加を頂き30名ほどの大人数となりました。

第一部 花傘巡行・八坂神社周辺見学
最初に堤講師から花傘巡行の意味と目的、歴史などを聞き、午前十時から始まる花傘巡行を花見小路の「一力」付近で見学しました。

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花傘巡行の織商鉾。昔は人形が乗っていました。

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祇園祭の歴史を伝える馬長稚児。


さまざまに趣向が凝らされた行列にはすべてに意味があり、昭和42年に開始するにあたって考えられた内容や警備との取り決めなど、驚くような説明に今までほとんど知らなかったこの行列が途端に興味深いものとなりました。

 約30分ほどの花傘行列を見物したのち、酷暑のため熱中症対策を兼ねてしばし休憩をとりました。午前11時、いよいよ八坂神社境内の案内開始です。
西楼門の異称の由来、疫神社の祭神、祇園造の秘密、神社彫刻の見分け方などなど、圧巻の説明は他では決して聞くことができないものばかり。

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八坂神社境内案内。疫神社の外観です。驚きのお話でしたね。

23 疫神社のご祭神。中を見たことがなかったのでびっくりです。.JPG
疫神社のご祭神。中を見たことがなかったのでびっくりです。

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大国主社の木鼻。さてこの生き物は何でしょうか?


神社の正門、南楼門を出た一行は陶器の狛犬の由来、かつてあった藤屋と西洋料理の関係、阿蘭陀公使と中村楼のゆかりなど二軒茶屋のとても面白い歴史を聞き、一端境外へ出ました。
ちょうど久しぶりに祇園閣が公開されていたため、急遽予定を変更し、大雲院の祇園閣に登ることにしました。

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祇園閣遠景。大倉喜八郎の想いがいっぱいつまっています。鉾頭は鶴!

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祇園閣楼上からの絶景。法観寺の姿も秀麗です。

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今年は多くの参詣者で賑わう霊山護国神社の墓地も見えます。

 お寺や祇園閣ではボランティアの方々による解説が行われていましたが、時間の都合上割愛し、堤講師の話を聞きながら登楼、楼上からの絶景と涼風を堪能しました。
大雲院を後にした一行は真葛ヶ原を舞台にした慈円の和歌や、西行や芭蕉の話、そして南画家池大雅と妻玉蘭の逸話を聞き、時代祭に梶女が登場する理由、そして祇園女御と忠盛、清盛の話など、とても面白い話題の数々に時間を忘れ、気がつくと予定の時間が目の前でした。

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再び八坂神社境内へ。ここは是非おすすめのパワースポットです。

円山公園の山鉾館などの説明を聞いたあと、再び八坂神社の境内に戻り、勧請された神宮の独特の雰囲気や、奇石二見石の話、美女祈願で有名な美御前社の祭神、刃物の神様や先ほどの美御前社と分けて祀られる厳島神社の祭神の関係など八坂神社で一番風情がある境内西側の摂末社の説明を受けてお昼休憩に入りました。
第二部 祇園祭講座

午後は堤講師による祇園祭講座で始まりました。

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宇野商店をお借りして行った祇園祭講座。
涼しい中で豊富な話題と楽しい話が続きました。

祇園界隈で茶道具を販売されている宇野商店のご好意により、四階の広間をお借りし、明治以前と以後で違う祭神の話、花傘巡行に登場する馬長稚児の話、還幸祭の駒形稚児と綾戸国中神社の祭神の関係など祇園祭の秘密を始め、楽しい話の数々を聞くことができました。

第三部 還幸祭

いよいよ祇園祭のハイライト、お神輿の還幸です。
第三部だけに参加される方々を交え、京都大神宮で簡単な説明を聞き、駒形稚児の登場を待ちます。

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還幸祭の主役、駒形稚児の駒形。
この馬の正体も初めて知りました。

初めてみる駒形稚児の姿はとてもりりしく、神様の渡御そのものという講師の話も臨場感をもって伝わってきました。

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四条通を行く東御座の神輿。
突然の大雨で予定が大狂いでした。

寺町通を練り歩く中御座の渡御を見物したあと、突然の集中豪雨に一時避難をやむなくされ、東御座、西御座の神輿差し上げ、差し回しなどのご説明ができなくなりました。ご参加の皆様には心よりお詫び申し上げます。

この日は大変な猛暑となりましたにもかかわらず、三部共に大勢のご参加をいただき、本当に有難うございました。
来年はまた趣向を変えて新たな祇園祭の魅力をご紹介したいと思っております。ぜひご参加ください。